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「風紀やシータを襲った連中は言わば、違法者いほうものわけじゃないですか。そんな違法集団が、そもそも後ろ暗いことなど何もないとおっしゃるシータを計画的に襲う理由なんて無いのですよ」

「!」

「そうですケイさん。今考えてらっしゃることで大体合っていると思います」

「な、なんなのよ。ナタリーあなた、このおよんで私を疑って」

「疑ってなんていませんよ。これは確信です。貴女には彼らに襲われる明確な理由が無くてはならない。そうでなければ通らない」

「無いって言ったでしょ!?」

「お、落ち着いてシータ!……ナタリーッ」

「なんでしょうか? パールゥ・フォン」



 空気が一瞬固まる。

 構わず、パールゥは続けた。



「前提からしてムチャクチャになってるの、わかってる? そもそもナタリーは、潔白ならばシータには襲われる理由が無い、ってところからスタートしたんだよ?」

「ですが彼女は襲われています。ということは襲われる理由があり、故にシータは潔白では無いのです。なので次は『シータは必ず違法に関わっている』と仮定して考えた。そしてそこにはあったのですよ。彼女と風紀が襲われるに足る、二者間の明確な共通点が」

「だったら早くそれを教えてよ。ハッキリ言えるからシータを責めてるんだよねっ」

自己解釈じこかいしゃくで人を責めるのはやめなさい、パールゥ・フォン。私は彼女を責めてなどいない」

「せ――責めてんじゃないのよ、今まさに。私が違法に関わってるって――!」

「『痛みの呪い』」



 ――再び、場が止まる。

 それにぎゃくするように、俺の思考は急速に加速を始めていた。



 痛みの呪い。

 お前が、シータと風紀をつなげるかぎ



「い……痛みって、」

「…………」

「…………ナイセスト・ティアルバーが見せた魔術の名前ですよ。エリダ達も見たでしょう――赤茶あかちゃけた化け物の姿を」

「……忘れるワケ無いでしょ、あんなの」



 エリダが苦い顔で腕を組む。

 パフィラもナタリーを見て頷いた。



「……どういう理屈りくつだか、わからないのだけど?」

「ええ。説明して差し上げますよパールゥ、ですから黙っていていくださいね。……風紀ふうき委員もシータも、あのとき『痛みの呪い』を目撃している。共通点はそこしかありません」

「ちょっと待って、ナタリー。それはちょっと決めるのが早すぎるんじゃ――」

「『違法いほう』だ、システィーナ」

「――――え?」



 周囲の目線が俺に向く。

 しまった、わずらわしくてつい口に出た。

 ナタリーの目が何かを切れそうなほどに細められる。



「邪魔しないでいただけます? ケイさん」

冗長じょうちょうなんだよお前の話は。情感じょうかんあおりながら語れる場面じゃないだろう、いいから早く事実を適示てきししろ」

「誰も彼もが貴方あなたのような頭でっかちではないのを理解しなさいアンポンタン。この場の全員に解ってもらわなければ困るのです。なにせこの仮説が正しければ、ここに居る者ほぼ全員・・・・・・・・・・が敵に狙われている・・・・・・・・・ことになるのですから」

『!!?』

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