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 何か言いかけたフェイリーを制し、クリクターが言う。



「校長」

「いいのですフェイリー、かばってくれてありがとう。……確かに、魔術師コースの者をここに居れてしまったのは軽率でした。私の落ち度です」

「で?」

「改めて、ここに居る魔術師コースの皆さんに協力をお願いしたい。構いませんか?」

『もちろん!!」ですッ!」



 エリダとパフィラが口をそろえる。

 クリクターは最後にフェイリーを見たが、彼も鼻から息を吐きながらゆっくりうなずく。

 クリクターはにこりと笑った。



「ありがとうございます、皆さん。……事の次第は、先程ここで語った通りです。あくまでも他言無用、特に学外の方には決して漏らさないよう、よろしくお願い致します。……それではコーミレイさん、改めて話の続きを。確か、メルディネスさんの襲われる心当たり、でしたか」

「……ええ。そして、そんなものは無いと回答をいただいたところです」

「ホントに無いの、メルディネスさん。何か後ろ暗いことをしてるとか、ご家族が悪いことに手を染めているとか」

「勝手に話を進めないでくださいますイグニトリオさん?? 不快な上に不正解です」

「あれ。メルディネス家黒幕説ってことじゃないの? 残念」

「だからあんたは……!!」

「無視しろエリダ。反応するだけ徒労とろうだ」

「ひっどいなー」

「私は敵の目的を知りたくていただけですよ」

「敵の目的だと?」



 ナタリーを見る。

 いまだその言葉の意図に辿たどり着けていない俺を見て、ナタリーはどこか満足気に俺を嘲笑わらった。



「あやあや。筆記試験連続トップのケイ・アマセさんでも理解出来ないと? 勉強が出来て頭は悪いの典型てんけいじゃないですかその反応は」

御託ごたくは」いいから核心かくしんを言え!……あれ、なんで黙ったのアマセ君」

「…………」

「む、無視しなってアマセ。反応するだけ徒労なんでしょ」

「ごめんて。茶化すつもりじゃないんだよ、僕も本当にそう思っただけさ。コーミレイさんの舌は大体回り過ぎでくどいからね」

「こいつにスキャンダルの一つでもあればすぐにでもイグニトリオ家を滅亡に追い込むんですがね……ああ口惜くちおしい」

清廉潔白せいれんけっぱくだけが取りだよ」

「ギリート。黙れ」

「はいはい」

「さあ、話を前に進めましょう。コーミレイさんは敵の目的がわかったのですか?」



 クリクターが仕切り直し、ナタリーを見る。

 ナタリーは深く深く溜息ためいきいて話し出した。



「たった一人の女子の記憶と良心を根拠こんきょにした、取るに足らない妄想もうそうたぐいですがね。……もう一度確認しますよ、シータ。何か公序良俗こうじょりょうぞくに反する、後ろ暗いことは誓ってやっていませんね?」

「だ、だからやってないって……言って……」

「ああ、ちなみに貴女の『趣味』についてはすでに知ってますしあれは後ろ暗くもなんともないので除外じょがいしていいですよ」

「え、ああ、そうなn……え????」

「さあ、それを除外して。家族を含めて、なにも後ろ暗いものはありませんか?」

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