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「あなたと同じよ。襲撃者のことも被害者のことも、今朝聞いたばかりなくらい」

「そうか。それじゃあな」

「待ってよ。久しぶりに二人だけなんだから、もう少し話をさせて」

鬱陶うっとうしいな。他に何を探ってる? 何が聞きたい?」

「大丈夫?」

「っ。」



 口から、いや、のどから変な声がれた。



「何のことだよ」

「全部のこと。『発作』のこととか、イグニトリオ君のこととか。色んなものが重なり過ぎて、大変じゃないかなってこと」



 ……シャノリアが口にした「こと」は、とりあえず全部、今まさに気になっていることで。



 思えば最初に出会ったこの世界の住人の一人だとはいえ、それ以降大した関わりは無い女性だった。

 マリスタと違い、彼女はプレジアの教師だ。それなりに忙しかったのだろう。

 だからこそ、俺とシャノリア・ディノバーツとは、とっくに「疎遠そえん」と呼べる間柄あいだがらになったのだと、勝手に思っていた。

 それがこいつ、さっきからことごとく俺の心中を外さず――



〝この先きっと、あなたをちゃんと理解してくれる人が現れる〟



 ――本当に。

 いつかまとまった時間をとって、顔に出ない訓練をしよう。絶対に。



「……『大変』に一役買ってる鬼監督おにかんとく台詞セリフかよ、それが」

売った・・・のはあなたでしょ。降りるなんて一言も言わなかったくせに」

「そっちに気を回す余裕が無かったんだよ。俺以外の奴らのモチベーションに関わるから言わなかったが」

「へえ。ケイなりに、みんなのこと考えてくれてたってことなのね」

「っ、」

「そして、劇に気を回せないくらいに追い詰められてもいた、と」

「…………好きに想像しろ」

「はい言葉止まった。またこれも図星? もう、アレコレすぐ態度とか顔に出すの直しなさいよ。まるで私が追い詰めてるみたいじゃない」

「追い詰めてるだろうが」

「だから、少しでもそれをといてあげようって言ってるんじゃないの。それで、どうなの? イグニトリオ君とは、上手くやってる?」

「…ああ。食えない奴でつかみどころがないが、掴む気もないからそう気にはならない」

「つまり上手くやれてるのかやれてないのかどっちなのよ……昨日の稽古けいこでギリート君とアクションしてたとき、あなた相当殺気立った目で彼を見てたわよ?」

「…………完璧かんぺき超人ちょうじんを見るとイライラするだけだ。人のつねだよ」

「完璧超人がウソばっかり言うな。中間筆記ちゅうかんひっきも全教科満点だったくせに」

「うるさいな。思春期なだけだ放っておけ」

「そういうの自分で言う……?」

「他にきたいことは?」

「……あらら。聞かせてくれるの?」

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