7
「あー……、どうだろ。高価ではあるけど、色んなところで売ってるんだと思うから……」
「お前がそれを買った場所で構わないよ」
「それなら、私の場合は王都だね。ずっと前から予約してて、やっと買えたんだ」
「……そうか。王都か」
……
しかし変声機のようなものまで存在するとは。
どこぞの本の話のように、髪の毛一本で姿形まで真似られるようなものがないといいが。
「ナニナニ、君もこれ欲しくなっちゃった?」
「ああ、そんなところだ。情報ありがとう、リリスティア。……それとその」
「ん?」
「余計なお世話かもしれんが。今後はやたらと人目を避ける方法を明かさない方がいい。夢を壊したくないんだろ」
「…………」
「あ、アマセ君?」
パールゥが小さく
リリスティアは一瞬ポカンとしたが、やがて目を細めてにこやかに笑った。
「うんっ。心配してくれてありがとう、アマセ君。これから気を付けるかは分かんないけどね」
「気を付けてくれよ」
「ふふっ、冗談。ちゃんと気を付けるって――それじゃあね、二人とも」
リリスティア・キスキルはくるりと向きを変えて去っていた。
「……優しいんだね。こないだ知り合ったばかりの女の子の心配までしてあげるなんて」
「手当たり次第に
「あっ……ま、待ってよっ!」
◆ ◆
劇という出し物は、本当にどこまで突き詰めてもキリがない
リハーサルを行えば確実に上演時間分の時間を食っていくし、そこに
そんな
付き合わされた俺は
だがまあ、それも
「――よし。じゃあ、今日はこれで解散。夕方に集まってくれればいいわ。遅れないでね」
『ッッしゃ!!!』
「うわっ?! な、なによみんなしてそんなに喜んで…………ま、かなりの時間をとっちゃったのは確かか。ここまでありがとうね、みんな。おかげで決してつまらなくはない芝居になったと思う。あとは舞台の上で気持ちよく
舞台セットが立てられている会場を我先にと後にするクラスメイトに逆行するようにして、舞台へと近づく。
さて、さっそく自主練を――――
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます