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「どんな問題の話か私、知らないけど。ケ……アマセ君が実技試験じつぎしけんで見せた作戦、見たでしょう? 筆記試験ひっきしけんの結果でだってアマセ君はナタリーより上だったじゃない。頭脳でだって、アマセ君はナタリーに絶対引けを取らないと思う。同じプレジアの学生じゃない、協力するくらいしてあげなよ。せっかくアマセ君が頼んで――――」

「そのケイ・アマセ至上しじょう主義しゅぎ。寒気通り越して怖気おぞけが立ちますねぇ、まったく気持ち悪い」

「っ!」



 パールゥが眉毛を吊り上げて目を見開く。

 ひるまず、殺意さえ感じる眼光を投げるナタリー。



「なんですかその目は。ケイさんに害する、いえ利しないと分かった相手には誰彼構わず突っかかって、貴女ご自分が最近相当イタい子になってるの自覚出来てます? この際だからついでに言いますけどもね、貴女このごろマリスタともギスギスしてますよね。ケイさんの為なら何を犠牲にしても、誰を傷付けてもいいのですか? 違うんじゃないですか、それ。……『恋は盲目もうもく』も大概たいがいにしてはいかがです? 少し身の振り方を考える場面に来ていると思いますよ。貴女はこれ・・と同様、平穏の破壊を選ぼうとしている。そんなことをして、万一マリスタに害する存在になってみなさい、パールゥ……私も容赦ようしゃしませんよ。どうなるか解っているのでしょうね?」

「っっ……!」



 ……訂正ていせいだ。

 殺意さえ感じる、なんて生易なまやさしいものでは無い。

 ナタリー・コーミレイは確実に――――パールゥ・フォンに殺意を示していた。

 そして、



「…………進むのが怖いだけなんじゃないの? 貴女は」



 気圧けおされながらも、パールゥもその視線を受け止め、返した。

 ナタリーの目が更に吊り上がった。気がした。



 …………一瞬、自分がどうしてこんなところに居るのか解らなくなったぞ。



「………………ドリンクが不味まずくなります。消えてください、今すぐに。両名とも」



 その後は、いくら話しかけても無視され。

 一先ひとまずは、この場を諦めて引き下がるしか無かった。

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