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「何か握ってらっしゃるんでしょう? 今回の件に関する、教師や義勇兵コースの面々に打ち明けられず、かつ私に協力を求めたいほどのネタとか」

「……それは、」

「握ってるんですねあァそうですかそれはよかったですね。それを打ち明ければもしかすると今回の騒ぎを一挙に解決出来るかもしれない、でも反面リスクもともなう、だから言えない。そんな罪悪感を解消する為に、リスクを共有してくれてかつ手近で裏切らない保証が存在する才色兼備さいしょくけんびな私に声をかけた。当たりでしょう? ハイではお引き取りを」

「…………そこまで見抜いてて何もかないのか?」

「貴方つくづく私のことめてますよね。何度も言わせないでくださいよ、私を誰だと思ってるんですか? 貴方がその容量の小さな頭の中に隠しているつもりになっていらっしゃる豆粒まめつぶ程度の情報に、私が辿たどり着けない道理が無いでしょう」

「…………それもそうだな」

「っ…………そもそもですね、人に頼みごとをするのに無償タダってのが虫の良すぎる話でしょうが。貴方に私の食指しょくしが動く程の対価が提案出来るとは到底とうてい思えませんが?」

「……友達だろ」

「口に出すだけでも数秒かかる程抵抗感ていこうかんのある嘘を吐かないでいただけます????? ちゃんちゃら可笑おかしい話でしょうが、貴方と私が友だなんて」

「そうだな。すまん今のはうそだ」

「ええそうでしょうね。そして友達でないなら見合う対価を提示しなさい。それが出来ないなら消えなさい、今すぐに。目障めざわりです」

「…………」

「考えたって無駄むだですってば。貴方が私に提示出来るメリットなど皆無かいむです。頭脳は私の方が数段上、戦闘能力に関しては現状私におとるどころか私の動きにとってデメリットのかたまりでしかないじゃないですか」

「!」

「その無い頭でよーく理解してくださいね。戦力外の貴方に協力したところでメリット無いんですよ、何一つとして。相手が武力を行使してくる以上、武力を奪われた貴方に出る幕は無い。おまけにケイ・アマセのスタンスとしては関わる理由が何一つない。ハイかぞ役満やくまんです、わかったら精々せいぜい自分のことだけにかまけていなさい。誰の目にも付かぬようにひっそりと、舞台ぶたいうらで、この無能」

「その言い方は無いよナタリー」

『!』



 突如とつじょ横から、険のある大声。

 向くと、カフェの出入り口からツカツカと歩み寄ってくるパールゥの姿があった。

 ナタリーが大きな溜息ためいきを吐く。



「……言ったでしょう、デメリットだらけだと。全く厄介な……パールゥ貴女あなた、一体どこから聞いていたんですか?」

「『無い頭で理解しろ』の所から」

「パールゥ、話に割り込むな」

「そうですか。全てまごうことき事実ばかりです。何か問題が?」

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