第36話 暗中模索も前進のひとつ
1
「――――では、これで連絡は以上です。今日から
クリクターの終わりの合図で、張り詰めた空気が解けるプレジア第四層、職員室。
早朝の薄ぼんやりとした空気を振り払う
「心配ですよね」
「!」
同じく
「エルジオ先生」
「覚えていただいたんですね、光栄です」
「……エルジオ先生は、昨日
不安げな目でサイファスを見るシャノリア。
サイファスはその目を
「いいえ。僕自身は、何も」
「ぼ。僕自身は?」
「はい。それを今から確かめに行くところです。たぶん、行先はディノバーツ先生と同じですよ」
「え」
シャノリアの困惑に気付かず、サイファスは予感する。
(マリスタは、俺が見失ってしまうような勢いで駆けていった。もしかすると、あいつは……何か、今回の件に絡む「
「俺、本当はまだ納得できていないんです」
「納得、って」
「確かに、義勇兵コースの子たちは戦う力を持っています。でもあくまで、彼らは学生でしょう。未来のアルクスの、プレジアの
「はい。校長先生はきっと分かっておられると思います」
「え?」
「でも私達教師には万が一、このプレジア全体を巻き込んだ騒動が起こったときに――――無関係な人達、特に義勇兵コース以外の児童や学生たちを無事に導く
「…………確かに、そうですね」
「……ふふ。そんなこと言って、
「え」
シャノリアの足が速くなる。
慌てて付いていくサイファス。
「で――――ディノバーツ先生?」
「いたいけな子どもを襲った罪……どう
「あ、えっと俺は」
「思いませんか!?!」
「思います!」
「そうでしょう! 許してなるもんですか絶対に――絶対にこの手で見つけ出して、一人残らずゴボゴボにしてやるんですから……!!!」
(ゴボゴボ……?!)
「だから、私もそれを確かめに行くんです。きっと情報を持っているであろう子どもに、一人だけ心当たりがあるので」
「え、それって――あの、先生?――」
ボルテージを上げていくシャノリア。
鼻息の荒いブロンドの魔術師を、サイファスはたじたじと追いかけていった。
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