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◆     ◆




 更なる情報――――被害者の意識回復を待ちつつ。

 当座は、風紀委員一人につき義勇兵コースの者を二名つけた三名体制で警備に動くことになった。……当然、俺とヴィエルナは外されている。

 が、標的になる可能性は余人よにんと同じくあるということで、ヴィエルナにはロハザー含め二人が警護に付く。つまり俺にも――――



「警備万全!!」

「万全だよ!!」

「……ありがとう」



 マリスタ、そしてケイミー・セイカードが警護につくことになった。

 戦力外に人員をくことにだけはとなえたが、そこはアルクスに増員を頼むとクリクター、そしてアルクスのフェイリー・レットラッシュが言った。

 ちゃんと魔法祭の間に来るのだろうか、その増援ぞうえんは。

 「たて義勇兵ぎゆうへい」アルクスは日夜リシディアの各地にだこで、出入り口の警備を担当する二名以外は全員が出払っていることがほとんどだというが……まあ、ここは俺が考えても詮無せんないことか。



 更に義勇兵コースの面々には、それぞれ襲撃を受けた際に使用する、手のひらにおさまる程度の魔石ませきが与えられた。投げれば弾け、特徴的とくちょうてき極彩色ごくさいしきの光を放つ。信号弾……といったところだろうか。



「では確認するぞ。敵に遭遇した場合は、同数以上であった場合は全力で逃げ、魔石で知らせる。同数未満だった場合は捕縛ほばくを試みろ。投げる前に落とされるようなヘマは極力するなよ。特に暗がりや袋小路ふくろこうじを警備する者は最大限の警戒けいかいを」



 フェイリーのげんに「了解」と応じ、それぞれに医務室いむしつを出ていく義勇兵コースの学生達。

 チラ、とパーチェに目線を送ったものの、奴はこちらを見ようともしない。

 やはり完全に縁を切った気でいるのか。



 流れに乗り、俺も医務室を出る。

 そでを引っ張られ、向いた先には不安げなマリスタの顔。

 言わんとしていることは解っている。



「ねえ、ケイ。もしかしてこれって」

「……可能性がないとは言えん。だがあくまで可能性だ。まだ表沙汰おもてざたには出来ない。誰から情報がれるともわからないからな」

「でも……次見たら、話くらい聞いてみるべきだよね」

「ああ。俺もそのつもりだ」



 このタイミングでやってきた、プレジア以外の「武力」。

 服装などは報告とは違うが、疑う余地は十分にある。



 いや、案外本当に――――




◆     ◆




「そんなに楽しいですか?」

「え? そう見えた?」

「それはもう」

「そ。でも答えは『ノー』ね」

「違うので?」



 問いかけるアヤメ。

 ココウェルは足をブラブラとさせながら、ほがらかに笑う。



「だって、楽しくなるのはここからじゃない」

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