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「ええ。見たことが無い……奴ら突然、黒い煙を上げながら、全員一瞬でその場から消えちまったんです。魔波まはごと」

「感知も出来なかった……ということ?」



 パーチェが目を細める。



「はい。感知できなかった。最初からいなかったみたいに、消えやがったんです」

成程なるほど。そりゃあ簡易かんい転移てんい魔法まほうだな」

簡易かんい、ですか?」



 正体の割れなかった魔道具まどうぐにあっさり検討を付けられ、ロハザーが目をしばたかせた。



「魔力の残る限り使える、携帯型けいたいがたの転移魔法アイテムだ。リクツはプレジアの転移魔法陣と一緒だよ。一つの親石おやいしと複数の子石こいしで構成されていて、子石の魔力を使うだけで親石の下へと瞬時に転移することが出来る。親石の魔波まはが及ぶ範囲内なら、どこへでもな」

「そ……そんなもんあるんですか」

「知らないのも無理はない。俺も任務で関わったから知ってるだけ――だがいい情報だぞ」

「え」

簡易・・転移魔法とは言ったけど、実際はとても貴重な魔石ませきを使った魔法だ。その辺の小悪党こあくとうには到底とうていこさえられないレベルにな」

「でも、持ってんですよね。あいつらは」

「ああ。その辺ではそうそう手に入らない、そもそも取り扱ってるところがほとんどないはずの魔石を持っている。となると、一番確実な入手先としては恐らく――――

「!」



 ……うら



「……で合ってますかね。ディノバーツ先生」

「……そうね。私もそう思う。高い上に数も少ない……そんなめずらしい魔石の純正品じゅんせいひん四大貴族わたしたちでもそうそうお目にかかれないわ。一番早く手に入れようとすれば、裏社会のルートを辿たどるのが一番じゃないかしら。もっとも、質は数段落ち――」

「どうでもいいんだよ、ンなことは」



 シャノリアの声をさえぎったビージ。

 奴は相変わらずテインツの方を向いたまま、こちらを見ない。



「どうでもいいことはないぞ。相手の規模きぼを測るには有用な――――」

「裏の連中がこんないち学校の祭りにズカズカ入り込んでくる理由があるってのかよ」

「ビージ、押さえて。相手はアルクスの人だよ」

「いや、いいよメガネ君。きっといっぱいいっぱいなんだろ。……ビージと言ったな、その指摘ももっともだ。だから問題は、一体彼らを襲ったのは何者か。ということになる」

「なるか? そんなことに――――見てみろここで寝てる連中をよ」



 ビージの言葉に、全員が目を被害者たちに向ける。



 言わんとしていることは、すぐに理解できた。



「…………ぞく

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