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「何も。それで、アヤメ。俺達はどうすればいい? お忍びというからには、誰にも報告しない方がいいんだろう」
「ああ。そうした方が身の
「身の為?」
「王族に手を出した者が
「……ああ、気を付けよう。お互いにな」
「お互い?」
「俺達もお前達を見逃そう。確かにマリスタに傷は残っていない。だから先の件は不問にしてやる。だがここはプレジアで、公式の訪問でない以上お前達は
「お前……!」
再び目を
「了解した。精々お互いに気を付けるとしよう。穏やかな祭りを楽しめるようにな」
「ちょっとお前勝手に」
「行きましょう、
「っ……チッ。解ったわよ。あ~イライラする!! あ」
去ろうと背を向けた王女が、胸を揺らして俺へと振り返る。
「ねえ、名前教えてよ。気分がノッたら誘ってあげるからさ。そんな貧乳よりこっちが好きでしょ?」
「ッッ!! あんた、ホント――」
「よせって。ケイ。ケイ・アマセだ」
「ケイ・アマセ! 変な名前! じゃ、気が向いたらね~」
その
騎士の腕に抱き着き、また騎士に腰を抱えられ、王女ココウェル・ミファ・リシディアは建物から降りていった。
「ケイ、体は大丈夫?」
「ああ。もう問題ない。お前は」
「大丈夫」
「そうか」
「…………ねえ、ケイ」
「なんだ」
「……あの王女が話した、プレジアのこと。絶対に、間違ってるよね」
「……ああ。事実は同じでも、あの
あの異常に攻撃的な性格。
そんな
床に残された、マリスタのかすれた血の
――理由はどうあれ、俺は
何事も起きてくれるなよ。これ以上。
お願いだから。
『
こうして。
波乱を盛大に
そう思っていた。
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