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「そうだな。例えば、そのアルテアスの者だという娘。それが本当なら、アルテアスの当主――――オーウェン・アルテアスに確認を取るのが手っ取り早いだろう」

「! 父さんに……」

「王国に確認は……取れないんだろうな」

「ああ。よく覚えていたな、これは『おしのび』だからな。王国に連絡するわけにはいかない」

「とすると、プレジアを訪れた理由は……」

「ああ。単なる観光・遊興ゆうきょう……百パーセント王女の気紛きまぐれだ」

「引っかかる言い方するわねアヤメあんたも……」

「事実です」

「それがどうして刃傷にんじょう沙汰ざたになるんだ。マリスタを刺す必要がどこに」

「王女が気紛れに私をきたくなったらしくてな。するとお前達が王女を抱えて逃げた。王族ともなれば、常に暗殺の危険が付きまとう。万が一お前達が刺客しかくだった場合を考えて対応させてもらった」

「そこまでの警戒けいかいでボディーガードがたった一人とはな」

「ハッ、一人で十分なのよ。言ったでしょ。あんたらプレジアのクソが束になってかかったって、アヤメには勝てやしないの!」

「そのクソの祭りには気紛れで顔を出すのか」

げ足取んな殺すぞ。国をべる選ばれし一族である身としては、下々の風俗を把握しておくのも立派な仕事の一つなのよ。どうせクソを知るなら、クソの中でもりすぐりのクソを知っておいた方がいいでしょ?」

「クソクソクソクソ言うんじゃないわよッッ!!!!」

「マリスタ、押さえろ」

「何様のつもりなのよ! いや、王女様のつもりかもしれないけど! 大体国を支える市井しせいの人たちをクソ呼ばわりって、根本的に国づくりの才能がないとしか思えないんだけど!!」

「だってクソじゃないのよ。お前達プレジアの貴族と『平民』達はそろいも揃ってさぁ!!」

「――――、」



 ……マリスタが黙る。

 それを反論できないからだと取ったのか、王女は恍惚こうこつとした笑みを浮かべて俺とマリスタを見下ろした。



「そうでしょ? 知らないとは言わせないわよ? あんたたち大貴族が貴族をヘコヘコとびへつらわせて、気に入らない『平民』は成績を地位を家族を人質に徹底的にさげすおとしめて従わせて。『平民』は『平民』でそれをうらみに恨んで!! 差別さべつ偏見へんけんめ、反面教師の『理想郷ディストピア』! それがプレジア魔法まほう魔術まじゅつ学校がっこうっていう場所でしょうが!? アッハハハ! ハハハハハ……!」

「……違うよ」

「違わないわよ!! 知ってるわよ、二ヶ月前の騒ぎ・・・・・・・だってそう! あんた達プレジアのクソ共はまりに溜まったクソの負債ふさい、責任をさあ! ティアルバーに全部か・・・・・・・・・・ぶせて学校から追い出・・・・・・・・・・した・・んでしょう!?」

『…………』

ひどい話よね、ホント酷い! あんた達は自分のクソみたいな行いはたなに上げて、全ての責任を上におっかぶせてまだ聖人せいじん気取ってるクソを煮詰めたクソの中のクソなのよ!!」

「…………ケイ」

「……ああ。抑えるまでも無い・・・・・・・・

「?……なんですって?」

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