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俺はその手を数秒
マリスタの姿は見当たらない。ついでに知り合いも居ない。
つまり――――切り捨て時だ。
「マリスタは居ないようだ。お前と恋人の振りをする理由は無いな」
「っ…………」
背を向け、少女を放って会場を出る。
予想通り、背後から迫ってくる
「――――妬いてるって
今まで聞いた中で、一番大きな少女の声。
外野の視線が集まる。いいぞ、今こそ見届けろ。
「そこまで解ってるならっ――少しは気持ちを
「下らないことを言うな。俺はお前と、
「…………!!」
……少女が、固まった。
――黙れ。
今ザワつくな。
さあ、お前の夢も
「……いい加減グダグダと付き
◆ ◆
「やっと気が付いた?」
「き、気は最初から付いてましたとも……」
「嘘つけ。すっかりライブに魅了されて夢の中だったくせに」
「それは否定できないけど……ねぇサイファス、私達ってケ――パールゥ達より先に会場出た?」
「ついさっきのことも覚えてないのかよ……ああそうだよ。俺達は彼らより先に出た」
「そ、そっか……」
「……それにしてもすごかったよ、あのライブ。まだ興奮冷めやらない感じだ。改めて、誘ってくれてありがとな。マリスタ」
「い、いいってことよ。なはは」
「…………なあ、マリスタ。お前」
「!」
「――――どうした?」
「――ちょっとごめんっ!」
「っ!? お、おいマリスタどこに――――マリスタ!」
◆ ◆
「ッ!?」
「きゃっ!?」
――――背中を、いつぞやの頭突きにも負けない力が貫い、てきた。
痛みに
柔らかさを
「っ――――、一体
「たっ……助けてください!! 追われてるんです!!」
「なッ」
振り向いた俺にしがみ付いてくる背の低い――――割に、深い谷間と弾力を感じさせる胸を持つ少女。
金のショートヘアを振り乱しながら、彼女は俺に抱き着いたままでまだ痛みの残る背後に回り込んできた。
正面には、
――正面には、フードを
そいつは
「殺されるッ!! 助けてっ!!」
「こ、殺されッ――――!?」
「ッ――――こい!」
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