6
「大丈夫ですか、キスキルさん!」
「リリスちゃん!!」
『!』
「ケ――ケイ・アマセっ。お前、少し有名になったからって煮え上がってんじゃねーぞ! 今風紀委員に連絡してる、
「ケイ君っ!」
スタッフらしき男を押しのけるようにして現れたのはパールゥ。
彼女はマリスタを、そしてリリスを見て、どこかムッとした視線を再度マリスタに向けた。
「どういう状況?」
「わ……解んないんだよ、私も。ケイが急に飛び出すもんだからさ」
「……どうしてこんなことしたの? ケイ君」
「あ……いや、それは……」
「ありがとう。そこまで熱心に応援してくれて、嬉しいです」
『!!』
赤色と桃色が小さく目を見開き、
黒のツインテールを揺らし、妹は目を細めて笑った。
「でも、モメ事はやめて欲しいかな。みんなには、ずっとわたしを見ていて欲しいから」
「…………」
「け、ケイ。謝っときな、とりあえずっ」
「あ、ああ……すまない。俺も、その。何がなんだかよく、解ってなくて」
マリスタの助け舟に乗り、
「約束してくれますか? この件はここでお終い、今後に引きずらないって」
「あ、ああ。帰り際に一通り
「ありがとう。じゃあ、私からもスタッフの方々には言っておきます。この後のライブ、楽しみに待っていてくださいね」
「い、いいのリリスちゃんっ」
「うん。出来るだけ多くの人に、わたしを見てもらいたいから。先生も、そういうことで許していただけますか?」
「あ――ああ。お前がそれでいいというなら……」
スタッフの少女の言葉にも、愛依はそう笑顔で応じ。
そのまま、マリスタとパールゥに視線を向けた。
「あなた達、アルテアスさんとフォンさんでしょ?」
『!?』
「知ってる。今度、クラス合同の劇、するんでしょ?」
「あ――え。り、りり……イヤ。き、キスキルさんも……」
「同学年だし、リリスでいいよ」
「りりす??!?!? や、いやいやいや! 愛称でなんてそんな! ハハ!」
「……よくご存じでしたね。私達が劇をすること」
「知ってるよー。『
「~~~~~~ッッッ!!?が……か゛ん゛は゛り゛ま゛す゛!!!!」
「あはは。そんなに感激してくれると嬉しいな。私も頑張るね」
「う゛ん゛っっ!!! がんばっでねぇ!!!」
「うんっ。――それじゃあ、ごめんね。心の準備をしたいから、もう少しだけ会場で待っていてね」
「はいっっ!! さあパールゥ、マリスタ! 会場に戻りましょっ」
「う、うん」
「……分かった」
――――何の素振りも無い。
目の前の
本当に、違うのか。
違ったとして、こんなに似るものなのか。
見れば見る程生き写し……いや正確に言えば、
〝兄さん〟
夢の中に現れた、あの愛依と同じ。
ちょうど……そう、愛依が成長していれば、こんな風な……
「ケイ! 行くよっ」
「!――あ、ああ」
陽だまりのような笑顔に見送られ。
俺は、引っ張られながらその場を後にした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます