3
――ようやく、テインツは自分の置かれた状況を理解する。
〝大切なのは、『自分の言葉には
「…………
「それとも何かしら。
「…………そういう風に言うなよ」
「は?」
「『あんた達』って。僕を、僕以外の
「……は?」
「ワケ分かんないこと言って
「だからっ、そうやって馬鹿にするのをやめてくれって言ってるんじゃないか」
「最初に私たちの作品を馬鹿にしたのはアンタじゃないのよっ。人に指摘する前に
「ッ………………、確かにそうだ、ごめん。君たちの作品を馬鹿にしたことは謝るよ。申し訳なかった」
テインツは口を閉じ、腹の中から
シータが
「もういいわよ。とりあえず、あなた見てると不快だから
「ちょっと待ってくれ。次は君が謝る番だ」
「……は?」
「は? じゃないだろ。君だって今、僕を馬鹿にした。それを謝ってくれないか」
「今イライラしてるから無理! 消えてって言ってるでしょ!」
「自分勝手すぎるだろそんなの!」
「あんたが作品を馬鹿にしなきゃよかった話でしょ!? 大体先に口出したのアンタなんだからその分の罪と罰があって当然でしょうが! 何を私でストレス解消しようとしてんのよなっさけない男!!」
「ストレス解消じゃないし男とか女とか関係ないだろ!!
「ハッッ特大ブーメランだわよ!! 私を偏見の塊呼ばわりする自分も偏見に満ち満ちてるって気付いてらっしゃるのかしらねぇ!?」
光が、また弾ける。
怒鳴り声も荒い呼吸も、少し離れたところにある
上下する肩だけが、自分の浅い呼吸だけが、言い争いの激しさを伝えた。
「…………大っ嫌い。アンタみたいな奴ッ」
「……また偏見だから、それ」
「リクツなんかどうでもいいわ。私は今を
「っ…………」
――自分の顔が
目の前の少女に対する怒りから、ではない。
どうしてこんなことになってしまったのかという、苦しみからだ。
(――なんでだよ。こんなつもり、なかったのに。僕はただ、)
〝び、びーえる本売り場なんかがこのプレジア魔法祭に……〟
(――――その
胸を支配する苦しみに
少年が一方的に悪かったわけではない。
少女が自分勝手であるのも悪いことだ。
だがそれよりも、今少年の胸を支配しているのは――ただただ、
〝あなただけを責めても仕方のないことよね。忘れて。起きてしまった不幸の原因を探したって、ただ不毛なだけだもの〟
誰かに言われたそんな言葉が、思い起こされて。
その不毛に
(……そうだ。『どうしてこうなったのか』なんて、探すだけ無意味。今考えるべきはきっと、)
「いつまでダマってるつもりかしら?
「ありがとう」
「…………は? マジで何なのアンタ。気色悪いのだけど」
「いいから聞き流すだけ聞き流してくれ。俺の中の
「ウザいウザいッ! 消えて! イライラするから! やめて!!」
「わかった、わかったよ。消える。消えるから。ごめんね本当に」
「消えてっ!! やめて!!」
「う、うん解った。じゃあ――――」
シータの
「――メ」
静かに闇をまとった右手が、
「ルディネスさんッッ!!!!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます