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「そうだよ」

「意外だね。てっきり体調とかを理由に……」

「俺の人間関係でマリスタがとばっちりを受けた。一言びんわけにはいかんだろう」

「別にとばっちりとかじゃねーんじゃねーのか?」

「何?」

「ムカつくけどよ、要はアルテアスとフォンの奴がおめーを取り合ってるだけだろ。片方が勝ち取った、もう片方は負けた。そんだけじゃねーのか?」

「馬鹿言うなよ。マリスタは俺にそんな感情を持ってない」

「いやいや。それはムリあるでしょ」

「無理?」

「君、自分がどれだけアルテアスさんと一緒にいるか自覚してる? 実技じつぎ試験しけん前なんて、アルテアスさんといないことの方が少ないくらいだったじゃないか」

「そうだよ。何も起きないワケがねぇ。ムカつくけどよ」

「起きない訳無いって、それこそ無理があるだろう。現に何も起きていない。俺とマリスタはただの、」

「『トモダチ』――とでも言うつもり? もしかしてさ」

「!」



 ビージ達とは別の方向から、テインツが歩いてくる。

 ベージュローブと風紀の腕章わんしょうをつけた姿を見るに、きっと今は学祭警備がくさいけいびの担当時間なのだろう。

 そして、その横には同じ格好をした――



「――お前、この時間警備の担当だったか? ロハザー」

「うっせーな!!!! げーけどテインツがしょんぼりしてたから仕方なく付き合ってやってんだよ!!!」

「ヘンなこと言うなよ。しょんぼりしてたのはお前だろ」

「いーや違うね!! しょんぼり具合はテメーの方が数段上だったもんね!!! そりゃそうだよなぁリリスちゃんに加えてマリスタにもフラれちまったんだもんなオーカワイソー」

「フラれてはないだろテキトーなことを言うなよ?!? というかしょんぼり具合の話なんてしてないんだよ、わざわざ僕に声かけてきて付いてきたのはロハザーの方だろって言ってんの!」

「う、ぬ……ぐっぞー……えェそうですよしょんぼりもしょんぼりですよしょんぼりしょんしょん丸ですよこちとら!!! アマセお前マジ、要らないなら今スグ俺にゆずれチケット。どうせ大した興味もねーんだろがっ」

「手放せるものなら手放したいよ、今すぐでもな」

「……ちッ。つーことはアレか。アマセおめー……今からデートか」



 ロハザーが悪絡わるがらみを引っ込め、素のテンションに戻って言う。

 無意識に、また大きな溜息ためいきが出た。



「デ……まあ、そうだ。……そういえば、お前達最後まであの場に居たんだよな。マリスタはどうなった?」

「どうなったも何も、そのままライブに行くことになってたさ。あの新しい先生とね」

怨念おんねんこもってるね、テインツ」

「べ、別に怨念なんかッ」

「こもってるじゃない。なぁビージ」

「ま、オメーがトガる気持ちは分かっけどよ。まさかあのアルテアスに許嫁……将来を誓った相手がいたってんだから」

「つか、なんでお前がンなこと気にしてんだよアマセ。さすがのオメーも、マリスタに相手がいるなんて予想外だったってか」

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