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 確かめるようにシスティーナ。

 エリダはむずがゆそうに口元をくしゃりとさせ、一瞬視線を下げたが――すぐに顔を上げ、システィーナを見た。



「あ――あんたなら解るんじゃないの、システィーナっ。あんただって、アマセといる時楽しそうにしてるじゃない。衣装いしょう合わせのときだってっ」

「――私?」

「んまあ、確かに乳繰ちちくり合ってた感じはしたのだわ。したたかな女だわよ」

「し、シータまで。あー……何? コレ、私も答えなくちゃいけない感じ?」

「それ言ったら答えるしかなくなると思うけど」

「て、手厳しいわねリアちゃん…………あ、」



 周りを見渡すシスティーナ。

 全員が、彼女を見つめていた。

 システィーナが苦笑する。



「……あんまり好きじゃないんだけどなぁ、恋愛の話をはやし立てられるの」

「すきじゃないのかー?」

「うん。まず……私ね、学校や仕事で関係がある人たちとは、恋愛しないことにしてるの」

「学校や」

「仕事で?」



 言葉をそろえるシータとエリダ。



「うん。学校で毎日顔を合わせたり、こうして一緒に学祭がくさいを作ったり。そういう日常を過ごす人と恋人になるのは、ちょっとリスクが大きすぎるなってね。告白したりされたりで、心地いいこの空間がこわれちゃうのは嫌だなって」



 持った衣裳いしょうを胸元に抱き寄せるようにしながらシスティーナ。

 エリダが椅子から身を乗り出す。



「え、え、え。じゃああんた、たとえばアマセ君が好きでも、あきらめるってこと?」

「その言い方は、正しくないかな。恋愛アマセ君を選ぶよりも、友達あなた達を選ぶって言った方が近いわね。これは前向きな選択なの」

「わかんねー!!」

「なんで分かんないのだわよ今ので……」

「どっちもとればいいじゃん!」

「ふふふ、そうね。どっちも取れるのなら、きっとそれが幸せよね。でも私は、少しでもこの平穏へいおんが壊れるの、嫌だなって思うから。みんなとはずっと友達でいたいし」

「う、うーん……そういうもんなのかな」

「そういうものよ」

「……でも、仕事や学校で関わる人を抜きにしたら……それ、誰とも恋愛出来ないんじゃないの?」

「そうとも言うかな」

「えーーーっ……、システィーナ、あんたマジそれでいいの? 好きなら好きって」

「もー、ホラこの話はおしまい。そもそも、私はアマセ君が好きだなんて一言も言ってないでしょ」

「え?! あ、あれ。そうだっけ」

「はーぁ。じゃあ結局、私達には今年もメデタイ話はナシってことだわね。つまんな」



 会話が徒労とろうに終わったことに落胆らくたんし、シータは椅子いすの背に体をあずけた。

 リアが小さく眉根まゆねを寄せ、ため息を吐く。



「ホント恋話コイバナ好きだね、シータ」

「ええそりゃもう。対岸たいがんの火事ってすごくキレイに見えるものだわよ」

「最っ低な性格してるわねあんた……」

「なんとでも言えばいいのだわ。だからスッゴク楽しいのだわよ、今年の学祭がくさいは。プレジア中等部生活六年間、日照ひでりっぱなしだった私達の中に、ようやく水を得ようと自ら動き出す子が現れたんだから」



 うっとりとした薄笑いを浮かべ、シータがパールゥを見る。

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