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 その目は鬼気ききせまるという表現がピッタリで、これまでの穏やかな様子とは似ても似つかない。それでいて、光に輝くブロンドの髪や見る者を引き付ける可愛らしい童顔どうがんは相変わらずで、彼女の変調を際立きわだたせる一助いちじょとなっている。

 何か悪いものでも食べたのか。昨日までは普通ふつうに……



「まったくあなた達は……今日からがどういう日だか、わかっているの?」

「え……ええと? 学祭の準備で、授業が少なくなる日……」

「そう!!!」



 おずおずと声を上げたシスティーナに、シャノリアがズビシと指を突き付ける。

 彼女はその指をそのままロハザーに向けた。



「そしてハイエイト君!!! その学祭まであと何日なの!!」

「俺!? あ、や……あと、一ヶ月無いくらいっスよね」

「その通りでしょバカ!!!」

「怒られた?! そのとおりって今…え?!?!」

「そしてマリスタァッ!!!」

「はひゃいいぃっっ?!?!」



 顔を至近しきん距離きょりに寄せ、ほぼ恫喝どうかつの口調でシャノリア。

 やめてやれよ。



「私たちの。」

「はい」

「学祭の出し物は。」

「はぃ」

「何?」

「は。ぃ。えと。げ、げき――」

「そ・の・通・りッ!!!」

「ごめんなさいいいいいっっっ!!!!」



 シャノリアの気迫きはくに押され、反射はんしゃのように謝罪しゃざいを泣き叫ぶマリスタ。

 シャノリアは上体を起こすと、ぐるりと俺達を見回して腰に手をえる。



「……そう。ここに集められた人達――六年二組と四組は、合同で劇をつくることになりました。準備はもう始まっている、本番まで一ヶ月も無い……この意味が解ってるの? 死ぬ気でやらなきゃ、とても人をせられる出来のものなんてつくれないッ!!!」

『…………』



 ……黙り込む。周りも黙り込む。

 当然だ。この場にいる誰一人として――いや、誰一人というのは間違いか。何人かは、シャノリアの言葉に目を輝かせてうなずいている――、その過ぎた熱意に置いてけぼりを食らっているのだから。



 ……おおむね、こんな具合で。



「覚悟しなさい。私と共に作劇するからには、あなた達には……劇にじゅんじてもらいます!!!」



 実技じつぎ試験しけんと同じ、またはそれ以上に苦しい「戦い」の日々。



 天瀬あませけいの「プレジアだい魔法まほうさい」は、幕を開けたのである。




◆     ◆




「…………困ります。非常に困ります」

「ダメよ。これは命令っ」

「……チッ」

「なあに?」

「なんでも」

「よろしい。じゃあ、万事ばんじ任せましたよ、騎士サマ・・・・。わたしはわたしで準備してますから。ああ、楽しみ……!」

「…………おおせのままに。王女様・・・

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