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わかってるよ。学校を挙げてやる文化祭だからな……ごうりては何とやら、というやつだ」

「まーた小難こむずかしいことを……」

「というかケイミー。お前こそ、仕事の途中だったんじゃないのか?」

「! いっけないそうだった! このあと学祭がくさい実行じっこう委員会いいんかいの朝仕事もあるのにっ……ってアトロ! それアンタも一緒でしょうがっ」

「俺のグループは昼からの集まりだから問題なし」

「むぅっ!」

「なんで怒るんだよ……まあいいや。どうせ教室ついてもヒマだし、ちょっと手伝ってやるよ」

「そうこなくっちゃ!」

「……俺は行かないぞ」

「ハハ、成り行きで手伝わせたりしないから安心しろって。そんじゃ、俺はちょっくらケイミーを手伝いに行くから、またな」

「じゃあね、アマセ君!」



 元気なケイミーに引っ張られるようにして、アトロが去っていく。

 朝から元気な連中だ。



 それにしても、学祭実行委員とは。

 クラスでの出し物もあるはずなのに、どうすればそこまで働く気になるのだろう。



 転移てんい魔石ませきを乗りぎ、教室区画へ。

 エントランスほどではないが、ここも朝からこれまでとは違う賑わいを見せ始めている。

 れ違う知り合いと簡単な挨拶あいさつを交わしながら、俺の教室、中等部ちゅうとうぶ六年二組の教室へと足をみ入れた。



「ケイおはよー!!!」



 ……頭に響く。

 だがこれもまた、いつものこと。



 出入口から見て上り坂の構造に机が配置されているプレジアの教室。

 その一番奥で人目もはばからず叫び、こちらにぶんぶんと手を振っているのは――――緑色のローブを着た・・・・・・・・・赤毛の少女。



 応えず、頭の痛い素振りなどを存分に見せつけながらゆっくりと歩き、俺は少女の――――マリスタ・アルテアスの、通路をはさんで隣側の席へ着く。



「おはよ、ケイ! 今日の体調はどーよっ?」

「…………テンション高いな。また一段と」



 目線をらし、それだけ答える。

 そんなぴかぴかの笑顔をこっちに向けるな。神経しんけいさわる。



「だってぇ、今日から授業がゴッソリなくなるじゃん? 中間ちゅうかん試験しけんも、前よりずっと良かったしっ!」

「そうか」

「ぬ。あーゴメンゴメン、相変わらず一位だった人に比べたらそりゃあ? 大してスゴくもないお話でしょうけどォ?」

「二百二十位はすごくないだろ」

万年まんねん最下位タイだった私にとってはスゴスゴのスゴなの!!!」

「そ、そのへんにしとこうねマリスタ……アマセ君死にそうだよ」



 か細く頼りない声。

 しかし、今の俺にはちょうど心地よく聞こえる声量。



 桃色の髪のまる眼鏡めがね――パールゥ・フォンは、いつものごとく苦笑気味にマリスタをたしなめた。



「アマセ君、本当に大丈夫なの? い、医務いむしつ連れて行こうか?」

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