鋼音――――そのひと振りに背負いしものは
重量。
間合い。
テインツの剣に宿る何もかもが、切っ先を通してこの腕に伝わってくる――――
「腕が遅いぞ!!」
「ぐッ――」
失われていく握力。
剣に遊ばれる体。
どれもこれも、なんて新しい。
もっとだ。もっと。
「
「相手の
「そんな剣を上に上げただけの構えが通用するかッ!」
「
「剣を振るだけが
パタリと汗。
だが
視界
立ち上がり
だがまた倒れ、立ち上が――
――テインツの手が、眼前にあった。
「――――」
「早く立て! もう――止まっている
――手を、
引き起こされた体で、
重量。
間合い。
「っ!!! づッ――――」
――だけでは、届かない。
同じものをぶつけては、俺に勝ち目はない。
もっと強さが必要だ。
何か。何か、とても強そうな――――
――――あいつが、持っていたような。
「ッッ!!!? お前っ、」
「――――――」
高い高い、
その
倒れたテインツに背を向ける。
誰かの泣き叫ぶ声を聞きながら、俺はスペースを出た。
壁を支えに、
今、何時頃だろうか。
試合までどのくらいあるだろうか。
この
この剣はナイセストに通じるだろうか。
様々な思考が
誰かの荒い呼吸が聞こえ、意識が
覚醒の衝撃で体が
打ち付けた衝撃で足が
力が指にしか入らない。指に壁の感触が伝う。
その壁の冷たさに、最後の気力と体温を奪われ。
とうとう意識に、暗幕が
◆ ◆
体が揺れる。
腕が何か細いものに回る。
それはとても
俺が目覚めるのは、いつも通りのベッドの上となる。
「…………これきりです。これ一度だけ許します。だから……絶対勝つんですよ、ケイさん」
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