抱擁――――その、弱く厚い壁を、こえて
テインツは俺に剣を向けていた。
俺は避けなかった。
それなのに、剣は俺を貫かなかった。
それはつまり。
「……テインツ。お前は剣を
「! っ、」
「これまでの剣の
「だ――だまれ、」
「そして俺を殺してもお前に未来はない。お前自身が、その口で言った」
…………テインツの瞳が、
「……テインツ。お前は何をしにここへ来た?」
「ッッ――――」
張り詰めた目のまま、テインツが
『…………ああ。自分のちっぽけなプライドがつくづく嫌になる』
…………
『こんなことをしに来た
声に涙が
『クソが。それもこれも全部、ぜんぶお前のせいだ。お前に出会いさえしなければ、僕は今まで通りの自信を持っていられた。お前に負けさえしなければ、こんな
「…………」
振り
涙の流れる目で俺を
でも、
『……だけど、そうさ。これが僕なんだ。どれだけ
テインツの目が細められる。
後から後から
閉じられた口から、
きっとその言葉を言わせたのは、奴の妹だった。
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