吐露――――ふたりの兄
「……
「どうしてだっ! どうして――どうしてお前ばかりが手に入れる。どうしてお前ばかりが勝ち続ける。お前のようなザコが、こんなザコが決勝に残れるなら僕だってっ――――こいつには何もないのに、僕には――――こんなにこんなに守りたいものがあるのにっ!なのにお前だけがぜんぶ手に入れていくっ、僕の手からはぜんぶ
……ウゼぇ。
もう死ね。
「っ、!――ゥううア゛ッっ!! ぐえ゛ぇ゛っ……」
俺の足元から床が
吹き飛ぼうとする奴の首をもう片方の手で
奴の顔面に手を向け、
「…………ぼくは、かぞくをっ、」
散々手間取らせた
「――――いもうとを守ることさえできないッッ――――!」
〝けいにーちゃん〟
――――何故か、
雨の中。
「あぁっ……あ、ぅ……ぁァあ……!!」
あいつも、今のこいつのように――――顔を、
どちらにせよ、ヘマをした。
何であれ、俺が
「……?」
涙でぐちゃぐちゃになった目を開け、テインツが
次の瞬間、
「ッ、バ――クソっ。み、見るなよっ!!」
「…………」 動け。
「くそ、くそっ……お前に関わると
「…………」 聞くな。
「どうしたんだよ……やれよっ!! やりゃあいいだろうッ!! ハッ、殺すなんて大口叩いといて結局出来ないんじゃないか! 口だけ野郎!」
「……お前にだけは言われたくない」
「お前と一緒にするなッ!! 僕は人を殺すことなんてなんとも思ってないっ、僕は――」
「妹が」
「――?」
「……いるのか。妹が」
「――……いるよ。ああ、いるさ。
「……どういうことだ」
「妹は――――意識が戻らないのさ。もう五年間も、ずっと」
「……
「頭を強く打たれた。生きていてくれただけでも
「……
「母親」
「ないん……」
――最後まで、言葉にならなかった。
母親。
今、そう言ったのか。こいつは。
「お笑いだろ。僕の妹は母にやられたんだ――そして父も。父さんはそのまま死んだよ」
「……お前も、助かったのか?」
「いいや。
「――――!」
テインツの視線を追う。
まさか、こいつ――
「その通りだ。僕は母を殺したのさ。父から
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます