詠唱――――万策尽きし、果て
「あの美しさを見よ」
クリクターがディルスの目線を追う。
そこに居るのは、
血の飛んだ
「あれこそが、」
「あれが『ティアルバー』だと。そう言いたいのですか、ディルス
「そうとも。誰よりも、何よりも強くあれと望まれ、その
「そうなのでしょうか」
ディルスが動きを止める。
クリクターは静かに、しかし
「祝福も、見届けるのも
視線の
やがて、先に視線を戻したのはクリクターだった。
「……答えは、もうすぐ出るでしょう」
「そうとも。もうすぐ終わる……そして、始まるのだ」
「ええ。始まりでしょうな……私は、そう信じている」
「――? 信じる?」
ディルスの問い。
クリクターは
彼はただスペースを――――倒れた
〝
「――信じています。この二ヶ月、
◆ ◆
〝ナイセスト・ティアルバーを倒してくれッ……!!!!〟
「――――、」
ナイセストの歩みが止まる。
奴のすぐ手前まで、床は
傷口は痛む。
焼けるように痛むが、出血はもう無い。
口が呼吸の仕方を忘れている。
視界がぼやける。
視界が揺れる。
だが、手も足もまだ動く。
俺はまだ戦える。
――いや、
「――俺はまだ、
「ハ、ハハハ…………ケイ・アマセ。ケイ・アマセッ――――ッ」
ナイセストが笑い。
がくんと、腰を折り曲げ顔を押さえた。
「…………」
「…………戦ってどうする?」
顔を片手で
指の
「
その手には、
これで勝てねば、止めだと思っていた。
「…………武器だ」
思っていた、のに。
「お前と戦う、武器が
ああ。
なんて重くて、
「!!」
ぶら下げたままの右手に、
必要なのは、明確な構造とイメージ。
強い武器。
ナイセストを倒せる武器。
俺が出会った、
「――――
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