逆転――――敵意は今、極上の



 ――ナイセストを中心に、ろくすじの光が立ち上がる。



「ッ――――!!?」



 瞠目どうもくするナイセストが反射的に俺から視線を外す。

 そうだ。お前は確かに氷柱ひょうちゅうを破壊した。おかげで、氷柱で構成していた魔法まほうじんはオシャカになった。



 だが、もう一つ・・・・は生きている。



「――――――砂のじん……!!!」



 砂弾の砲手サンドバレットの砂で描かれた、六基ろっきの魔法陣が。



 所有属性エトスでない分、つち属性ぞくせい中級ちゅうきゅう魔法まほう土竜の行軍スオロプス詠唱えいしょうで扱うのには骨を折った。

 辛うじて無詠唱にはけたものの、細かい操作にはどうしても手指しゅしで砂の動きをコントロールする必要が生じたのだ。



 上手くいくか半信はんしん半疑はんぎだったが、何とか隠せた。



 自分の背後にかざした手・・・・・・・・で砂を操作し、直後に光弾の砲手ライトバレットを放つことで――――あいつの目には、俺が背後にかざす手がライトバレットの予備よび動作どうさのように映っていたはずだ。



 ――いや。今はそんなことはいい。



 みだ、ナイセスト・ティアルバー――――!




















「あと一歩詰めが甘かったな。ケイ・アマセ」



 ナイセストの手が、俺の胸倉むなぐらつかむ。



 視界が反転はんてん

 頭に駆けのぼる血。

 引っ張られ引き千切ちぎれるローブ。

 骨格こっかくごと振り回された体はえがき、そして、



「忘れたか、ケイ・アマセ――機神の縛光エルファナ・ポースは、六つの陣の中心・・にいる者を捕縛ほばくする魔法だとな!」



 俺は、先程までナイセストが居た場所に叩き付けられた。

 


「っっっっ!!!! しまった、こんなッッ――――」



 陣が発動する。



 光が、伸びて――――中央の俺を、とらえる。



「また失策しっさくだったな。――あまりにも、致命ちめいてきな」



 残光ざんこうほとばしる光のなわが俺の身体を幾重いくえにも取り巻き、くさりめるように魔法陣が光を収束し、縄を張って俺の拘束こうそくを仕上げる。



 そうして、荒れくる魔波まは唐突とうとつ霧散むさんし。



 スペースには、水を打ったような静けさと、ナイセストと――――自分の魔法に拘束された、俺だけが残った。



 ナイセストの失笑がスペースに、響いた。



「なんてザマだ。間抜まぬけ」

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