解読――――木の長きを求むる者は必ず根本を固くす



 着地する。



「基本的なことだ――――闇属性と光属性は互い・・・・・・・・・・に打ち消し合う存在・・・・・・・・・。闇の『侵蝕』にも対抗たいこう出来る」



 ――――手を背後に、ナイセストから見えないようにかざす。



「よく勉強しているな。光属性の魔力を体に満たして、俺の『侵蝕』を中和したか。……だが、それで・・・?」

「……随分ずいぶん必死に避けたじゃないか。さっきの――光弾の砲手ライトバレットッ!!」

「!」



 下げていた手を向け光弾こうだんを放つ。

 ナイセストは目を見開いてこれを避け、――またも、大きく距離をとって俺の対面に、立った・・・



「……みにく不意ふいちだ。余裕の無さがけて見えるぞ」

「ふざけろ。余裕なんてあるか、俺とお前にどれだけ差があると思ってる。経験も魔力まりょくも、使える術の種類もだ――――だが一番の違いは」

「?」

「……所有属性エトス魔力回路ゼーレだ。そうなんだろ?」

「……ほう?」



 ――手を、後ろにかざす。



「お前の身体能力は、同じ英雄の鎧ヘロス・ラスタングを使っている俺とでも比較ひかくにならないほど上昇している。基礎きそてきな身体能力の違いと言い切るには違い過ぎるほどにな。あのヴィエルナでさえ、ここまでの違いは感じさせなかった。英雄の鎧ヘロス・ラスタングは、魔力出力によって効果の変わる術でもないしな」

「ああ。言ったはずだ、英雄の鎧それはハズレだと。それで終わりか?」

「ではお前の強さの理由は何か。……術そのものでも身体能力でも、魔力出力でもない。とすれば、俺とお前の違いは――――所有属性エトス

「…………」

「闇属性の逆で、光属性の魔法は魔力回路ゼーレを活性化させる。体内の魔力のめぐりを良くし、実力以上の魔法を扱うことも可能にする。例えば光を所有属性エトスに持つ者は、魔力消費は多くとも強い魔法を使いやすいだろう。……ならば、ナイセスト・ティアルバー。闇を所有属性とする者・・・・・・・・・・はどうなる・・・・・?」

「………………、」

「闇は魔力回路ゼーレを不活性化させる。俺のように中和しなければ、体が動かなくなる程に魔力回路ゼーレは――魔力の流れは悪くなるだろう。ナイセスト。お前、いつもそう・・・・・なんじゃないか?」

「……………………、」

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