威風――――神出鬼没の障壁



 ナイセストが迫ってくる。

 応じ放った魔弾の砲手バレット隙間すきま首根断つ魔宴オプスレザ飛来ひらい

 それに向け俺は――盾の砲手エスクドバレットを放つ。



 闇をすり抜けた・・・・・たての弾丸がナイセストをとらえる。



「ッ!」



 当然。

 盾の砲手エスクドバレット物理ぶつり障壁しょうへき魔術まじゅつ

 物理ぶつりとらわれない魔法まほうに、さえぎられることはない――!



 ひるみ視線を下げたナイセストに次弾じだんを放つ。

 しかし奴は弾丸を見る事無く――――左手で打ちはらってみせた。



「!」

「――やっと見えてきた」



 凍の舞踏ペクエシスち、場を仕切り直す。

 魔弾の砲手バレットで奴を空中にさそい、間髪入れずに盾の砲手エスクドバレットを――



 ――ナイセストは体をひねり、すべて避けた。



「!!」

「少し魔力知覚まりょくちかくを張れば、十分視認しにんも可能……」

「――順応じゅんのうはやぎだろ……――――!!!!?」



 ナイセストが眼前。

 その手が俺の首へと伸び、


 

 見えない壁・・・・・さえぎられた。



「!また障壁っ」



 魔弾の砲手バレットでナイセストの顔面を撃ち抜く。

 大きくったホワイトローブの腹部にりを突き込む。



「っ!」



 反撃にと奴が振り上げようとした足を――――障壁しょうへきで止める。

 あごを撃ち抜く。



「ッ、馬鹿の一つ覚えのように――――」

「その馬鹿に踊らされてるのはお前だ――――そら。次はどこに・・・・・出てくると思う・・・・・・・?」

「貴様……!」



 笑み。

 ナイセストが動く。

 障壁で遮る。

 一撃を打ち込む。

 ナイセストが動く。

 障壁で遮る。

 一撃を撃ち込む――――!




◆     ◆




「あ、アマセ君押してるっ……!?」

「ちょ……ねえねえコレって、あのアマセ君の新技で思ったより一方的じゃないコレ!?!? ヤバ、このまま押し切っちゃうかもよ!?」

「う、うん。アマセ君の魔術、弾丸の方は攻略されかけてたみたいだったけど……遠距離えんきょりならともかく近距離きんきょりであれを出されたら、ティアルバー君でもさすがに反応できてないみたいだわ。…………」

「すごい……どんどん当ててる。白兵はくへいの能力、アマセ君の方がずっと下なはずなのに」

「すごーい!!!! いいぞアマセーーー!!」

「というかあの小さい障壁って、理屈りくつてきには一々いちいちアマセ君が計算して出してるってことだったわよね?…………あれだけ激しい戦いの中で計算して出してるって、ひかえめに言って頭おかしいんじゃないのって言いたいわね」

「シータあんたはまた!!」

「それとさ………………あの。私の見間違いだったらいいんだけど」



 シータが目を細めてスペースを見下ろしながら、観覧席かんらんせきさくをじわじわとにぎめる。



「…………攻めてんのはアマセ君だけどさ。アマセ君、押されてない?」

『!!?』

「……シータもそう思う?」



 くもった顔でスペースを見つめたままシスティーナ。

 シータが顔を引きつらせて彼女を見る。



「……私、戦いを見る目とか自信あるわけじゃないのだけど。やっぱそうなの?」

「ど――どこよ。あんたたち、どこ見てそんな見当外れなこと」

「倒れない」

「言って……パールゥ? 今なんて言った?」

「あれだけくらってるのに……ティアルバー君は、どうして倒れないの?」

「……え?」



 エリダがスペースに視線を戻す。

 中では依然いぜん、ケイがナイセストを攻め続けている。



「………………、」

「……もう、二分くらいかな。アマセ君、一度も手を休めてない。攻撃はほとんど当たってる。なのに」



 リアが声をくもらせて言う。

 エリダが息をんだ。



「………………効いてないのか? 攻撃が……!」

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