11
「冷静というか……騒ぐ気になれないんだよね、だって騒いだところでキースさんは回復しないだろ?
『…………』
四つの目が、ホワイトローブに注がれる。
少年はポリポリと頭をかいた。
「……そんな目で見られると、弱るな。やっぱ薄情か、ごめん。君たちの気分を悪くしようってんじゃないんだけど、なんか。駄目だな、どうやら僕はこの場に
「あ……いえ、大丈夫です。ちょっと血を見て、気分が悪くなっただけですから」
「そっか。決して見て気持ちのいいものではないからね、ああいうのは……さてと。まだ終わってないブロックの試合でも観に行ってみようかな。君はどうするの?」
「……それは『言え』という指示ですか?」
「まさか。
「ではお先に、失礼します」
ホワイトローブを追い越し、足早に去っていく少年。
会長は「ふう」と大きく息を吐いた。
「……僕って、ホント一部の人には
「…………えっ。あ、はい。そう、なんですね」
「……関係なかったね。………………フォンさんは、明日も第二ブロックで試合を見るの?」
「え――はい。もちろん」
「余計なお世話かもしれないけど、やめておいた方がいいんじゃないかな。見るの」
「……どうしてですか?」
「明日の試合は、今日以上に
「…………今日以上って、どういうことですか」
「もっと体調悪くなりそうだから、言わないけど。要するに、アマセ君がボロ負け――ティアルバー君が圧勝するってことさ」
「そんなのっ、やってみないと――――」
「分かるよ。明日はティアルバー君の
「これまでもそうでした」
「……これまでも?」
「アマセ君が実力で優位に立ってた戦いなんて、これまでも一回だってなかったんです。それでもアマセ君は勝ってきた。だから私は……彼を信じてるんです」
「信じてる、ね……まぁ確かにそうかな。偶然に
「え?」
「これまでも勝ってきた、って言ったよね。今日聞いて、あと見てる限りだと、彼の勝ち方は
「そ、それはそうかもしれませんけど、でも」
「実力はあるの?」
「あ――ないと、勝ち残ってないと思います」
「知らないなら知らないでいいんだってば。でも、考えてみたら君が知ってるわけないか。戦いニガテなんだもんね」
「ッ――私は!」
「知らない」。
そう言われたことに、パールゥは自分でも意外なほど気持ちがせり上がった。
「わっ、ご、ごめん……また僕気に
「っ……ごめんなさい。でも私は、とにかく――アマセ君を信じているんです。戦う以上、彼はティアルバーさんと戦えるし、勝ちにいく。勝てるんです」
「…………信じる、かぁ。みんな、そんな気持ちでいるってことなのかな」
「――みんな?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます