7
「――――ッ、!!!」
反った首元に一撃。くの字に折れ曲がった首に付いてきたこめかみに一撃。
吹き飛ぶナイセストの
「う――うおおおぉぉぉおっっ、ヴィエルナっッ!!」
「残り時間――――」
マリスタが時計を確認する。
残り時間は、一分。
「少ない――――引き分けいけるよこれっ!! ヴィエルナちゃんッッ!」
(――――引き分け? ということは――
勝負を分けるのは、
つまり。
(ヴィエルナが、勝ってしまうかもしれない――――!)
会場の盛り上がりが
ヴィエルナは今
ナイセストも反撃しようとしているが――
「……ヴィエルナ、」
「びえるなちゃんんんんーーーーー!!!!」
「押し切ってっ!」
「や――やれるやれる、いけいけっ!」
「キースさん――!」
「キースさーーーーん!!!」
「ヴィエルナァァァアアアアーーーーーー!!!!!!」
「キースさん、がんばれっ……!」
「ばんくるわせぇーーーーーーーー!!」
「もう、少しっ……!」
「まさか……そんな」
「――――行くかもねえ。これ」
ヴィエルナが拳を脇に固め――――
最大限に
その
「――
『アァァァァッッ!!!!??』
――――
誰もが目の前の光景を理解できず、息を殺してスペースを見つめ始める。
だが、最も状況を理解できないのは――ヴィエルナ・キースである。
「ッッ……ッ、ッ……ぁ、!、?」
衝撃と
次いでやってくる痛み、認識。
肩を
それはある意味、想定された痛みであった。
ヴィエルナは
それを見抜けぬ相手でもあるまい、と――ヴィエルナは、ともすれば
だからこそ、
(どうして――
――止まるはずが無い。
距離はわずかに二歩。
「…………なんで…………!?」
闇が晴れる。
ヴィエルナを貫いていたそれが――
少女は目を見開いた。
「…………
ナイセストの両手。そこには、刃が
術者の
ナイセストの
ヴィエルナの突進は、その
「……
「っ――」
「
――数多の
同時にナイセストが
漆黒に
両手をだらりと投げ出し、吹き飛んだヴィエルナが倒れていく。
その光景が、
再び、彼女と目が合ったとき。
ヴィエルナの両腕から、アカが
シータが口に手を当てて目を
マリスタは、それが両腕を斬り飛ばされた故の出血であると気付くのに、数秒の時間を必要として。
その
「ヴィ――――、」
太陽に近づきすぎた
「エル――ナ――」
――――――――赤いローブを着た赤毛の少女が、スペースの
『!!!!?』
「マ――マリスタッ!!!!!」
「なにやってンだおまえェ――――――ッッッ!!!!!!!!」
障壁に両手を、
「マリスタ……!?」
「ッ!? パーチェ先生どこにっ、」
「あああぁぁぁ――――――ッッ!!!!!!!!!!!!」
障壁の魔力とマリスタの
「
それは、
「
空気をつんざく高い、音。
「きゃあああぁっ!!」
エリダの悲鳴。
濃密な魔波が無差別にブロックを、会場を襲い、備えの無かった者が次々倒れ込む。
「…………、…………、」
やがて、勢いが消える。
圭が顔を上げる。
黒と白の入り
「――――――――――――」
鮮血を浴びた静かな
一方はナイセストの手を取り、一方は――空へと手を掲げた。
途端小さな光が手から飛び、上空で弾けると――それは色濃い
「な……何がどうなったってのよ、コレ……!」
「アマセ君。大丈夫?」
「あ、ああ……」
「マリスタっ!」
ナタリーの声に振り返る圭達。
そこには――シャノリアに組み伏せられてうつ伏せに倒れている、マリスタの姿。
「離してッ!! 離してください先生ッ!!」
「落ち着きなさいッ! スペースの障壁を破壊するなんて、あなたっ……何をしてるか分かってるの!?」
「ヴィエルナちゃんが!! ヴィエルナちゃんがあっっ!!!」
「気持ちは分かるけど黙りなさい!! あなたがここで騒いでも彼女は良くならない、周りの混乱を大きくするだけだというのが――――」
『ヴィエルナ・キース
マリスタが、放心する。
「……
『勝者、ナイセスト・ティアルバー』
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