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シャノリアの表情が変わる。
人込みをかき分け、突き破り、なんとか二人の姿を確認しようと前へ進む。
ブロンドの髪を光らせた美女が自分を押しのけてくるとあっては、
(雷精化まで出したってことは、完全に本気だったはず。なのにどうして、ハイエイト君はあんな話を――――)
『〝まいった〟』
――その声は、シャノリアの耳にもはっきりと届いた。
一瞬、水を打ったように静まり返る会場。
試合終了を告げるトルト・ザードチップの声が低く響き――ややあって、会場はどよめきの
シャノリアがポカンとスペースを見る。
(ふ、風紀委員のハイエイト君が……ケイ相手に
瞬時に、
くっきりと見えるようになったロハザーの表情は、どこまでも穏やかで。
負けたような顔をしているのは、ケイ・アマセの方だった。
◆ ◆
「ロハザー!」
「んだよ。こちとらクールダウンして気ィ抜けてるとこなんだ、でけー声出すんじゃ――」
「どういうつもりだお前。好き勝手
「…………そうだよ。俺は、まいった」
「ふざけるな。お前はまだ
「天才クンにしちゃボケたセリフだな。こいつはアルクスの
「ふざけるなっ。
この野郎、なんて清々しい顔を――
――数秒目を閉じ、手早く深呼吸を済ます。
「言いくるめるってのは気持ちイイもんだな。――試験中は、言いくるめられてばっかだったからよ」
「……
「…………」
ロハザーが俺に向き直る。
「……別に大した理由じゃねえよ。ビビって戦うのはもう終わりにしようと思っただけだ」
「だからこそだろう」
「あ?」
「だからこそ、今度は自分だけの
「あーあー、説教ジジイはひっこめとけよ。俺は残念ながらケイ・アマセ
「人を
「テメーが思い知らせてくれたんだぞ。大体よ」
「?…………?」
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