第20話 ムキダシの場所
1
「……息がつまりそうなくらい、濃くて重い
「え……ええ。本当に重い魔波でした……助かりますかね、相手のグリーンローブは」
「動きからも、彼女はまだまだ初心者
「…………」
「
皮肉でない、
「気に障ったら悪いんだけど」と口にし、会長は続ける。
「……家族は、無事?」
「……大丈夫でした」
「……そうか。安心したよ」
「
「…………」
会長が顔色を変える。
少年は顔を
「すまない、そうだったのか。話さなくてもいいよ」
「両親とも、六年ほど前に亡くなったので。今は
「……大事に想ってるんだね。さっき聞いた、転校生を散々痛めつけた貴族とは、似ても似つかない」
「…………怖かったのかもしれません」
「怖かった?」
「自分の信じた世界が、目の前で音を立てて
「……さっき聞いた限りだと。信じていたというより、
「、……妄信、ですか」
「あ、気に障ったなら謝るよ。どうも昔から他人に遠慮がないというか。
「いえ……その通り、だと思うので」
「……このタイミングで言うのもナンだけど。プライドは無いの?」
「この二ヶ月、ずっとそのことばかり考えていましたから……少しは冷静に状況が見えてきたつもりです。自分がどんな大変なことをしていたのかも…………怖いのだと思います。自分の中に
「そのくらい、怖い事だよね。自分が生きていた世界が一変してしまうのって。…………それはきっと、ティアルバー君も同じなのかもしれないよ」
「え?」
「彼は君ら『
「……あの人も、そんなことを思うんでしょうか」
「何言ってるんだよ、彼だって僕らと同じ、心臓一つに体一つの人間だよ? 恐怖を感じない
「試合に?」
「あの重い
「……ティアルバーさんが、動揺?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます