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「たぁっ!!!」

「!――!!?」



 闇雲やみくもに目の前へ放たれたマリスタの拳が――現れたロハザーの顔面を捉える・・・・・・



「ぐぅ、おっ――」

「くぅ、しびれ……でもわかった!!」



 紫電。



「そこだァッ!!!」

「ご、うがッ……!!?」



 紫の閃電せんでんはしった場所目掛めがけ、マリスタがりを放つ。蹴りは現れたロハザーの脇腹わきばらへ吸い込まれ、吹き飛んだ。



(こいつ――チビ雷が出た・・・・・・場所に現れる・・・・・・!!)



「が、ごほっ……はっ!!! ネタが分かったから何だってんだ!」

「アンタをちゃんとブンなぐれる!!」

「やってみろ、百倍にして返してやるッッ!!!」

「ぬかせっ、威力は私の方が上よッッ!!!」



 虹拳こうけん雷拳らいけんが火花を散らす。



 ロハザーの数発。

 マリスタがそれをつかみ、渾身こんしんの一発。

 ひるんだロハザーに更なる連撃れんげき

 持ち直したロハザーが雷速らいそく移動、意表いひょうを突いて一発。



 こぶし



「ぐあッッ!!?」



 拳。



「くぅううっ!!?」



 拳、拳、拳。

 機関銃きかんじゅうごと無手むて応酬おうしゅうが、周囲に滅茶めちゃ苦茶くちゃ魔波まはをまき散らしながら展開していく――――!!



「ま――マリスタっ!?あああああなにをそんな、顔の形がボコボコに変わってしまいますよっ!!?」

「はは――大したもんじゃないの、あいつっ!」

「パンチパンチぱんちィ!!!」

「あいたっ!? ちょ、パフィラあんたね、当たってるからね!!」

「そこっ!」

「ま、マリスタ……!」

「い、生きて帰ってきてよっ……!?」



 少女たちのどよめきなど、スペースの戦士たちには届かない。



(もう頭真っ白っ……でもなんか、)



 届く必要など、微塵みじんもない。



(――止めらんないッッ!!)



 拳と拳が激突し、発生した衝撃波が二人を吹き飛ばした。



「ぐっ……ごほ、ぉ……!!!」

「はぁ、ハァ、は……ぁ……っ!!」



(――トドメだ。とどめをささねェと、この野郎……魔力にあかせてどこまでも食らいついてきやがる!!)



 鎧がうすれ、体から頻繁ひんぱんに火花を散らしているロハザー。

 限界は近い。



 ならば。



「死ぬなよッ! マリスタ・・・・!!」

「!?」

「アアァァァァッ――――!!!」



 ロハザーの体内に収まり切れなかった魔力が、魔力回路ゼーレかられ出て吹き上がる。



(この感じ――――まさかっ、上級魔法じょうきゅうまほう!?)



「〝雷光らいこうあるじよッ! 大空たいくう降誕こうたんせし雷霆らいていの王子よッ!!〟」



 マリスタは。



「――――――――」



 笑った。



「――――〝裂海れっかいあるじよッ!〟」

「――――!!」



 マリスタから、光の柱のように魔力があふれ出る。



「〝界溝かいこう治めし大嵐たいらんにない手、天空神あまそらのかみ神子みこよ!〟」



(――――――こいつッ!!!!)



 ロハザーが笑う。

 笑いあう二人の体に、最大限の魔力が収束しゅうそくしていく――――!



 会場がにわかに騒然そうぜんとする。

 こうした・・・・事態があるため、観覧席かんらんせきにて試合を観戦する者は少ないのである。

 二人が発する尋常ならざる魔力。その魔法。

 スペースを覆う魔法障壁が、その激突による余波を全て防いでくれるとは限らない――――!



「……〝今その神鳴しんめいッ!! 御声みこえを世に落としめとどろけッ!! 我が手に敵を先鋭せんえいを授け給え〟エェェッッ――――――!!!」

「〝颶風ぐふう従えしその諸手もろてかか海波かいは聖痕せいこんをこの手にッ!!!〟えッと、……〝ぎ渡らしめたまえッ、海竜かいりゅう咆哮ほうこうッッ!!〟」



 第二十四層が、揺れた。



雷霆の槍トニトルス・ハスタアァァッッ――――――!!!!」

海神の三叉槍ヴァダレイ・リュアクスッ――――――!!!!」

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