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◆     ◆




 水色の弾幕だんまくがロハザーをおおう。



「バカの一つ覚えのように魔弾の砲手バレットで力押しかよ! テメェはその弾幕を、たった今俺の障壁しょうへきで突破されたことを――」

「アアアァァァッッ!!!」

「!」



 ――水色が、一層いっそうくスペースをおおう。



 ロハザーの目に映る流弾の砲手アクアバレットの弾幕。

 それが明らかに、先程さきほどの倍以上に増え――もはや観覧かんらんせきなど見えないほどの密度みつどでマリスタの背後に装填そうてんされた。



「こ――こンのクソ魔力タンクッ、」

「おめに預かり光栄だわ。あんたは今からそのクソ魔力タンクに押し潰されんのよっ!!」



 青い流星が、はしる。



「バカが! どれだけ展開てんかいしようと、障壁の前では魔弾の砲手バレットなんぞ無意味なんだよ――!」



 瞬転ラピド

 ロハザーが視認しにん不可ふかな速度でマリスタへ突進する。

 太く強烈な音と衝撃が障壁で弾け、しかしロハザーは構わずマリスタのふところに迫障壁しょうへきくだった。



「は――――!?!?っ、」



 青に飲み込まれる灰。

 めちゃくちゃにきりもみ回転かいてんしながら空中を吹き飛んでいく。



「おぶォべげえごばゎあばデッ――ッッ!!?!」

「ッ――けぇえええッッ!!!」



 赤の叫び。

 弾幕は止まない。

 弾幕は止まない。

 止まず、スペースの障壁しょうへきに激突し空中でおどっているロハザーを、無限に打ちえ続ける――!



「ぶグッ――調子ノんじゃねぇぞノ野郎やろォぁ――――ッ!!」



 灰の全身から雷撃らいげきほとばしり。



 水弾すいだんは、一つ残らず爆発した。



「!!! ぅ、あ――――!?」



 爆散ばくさんしたたまが雨となり、場を満たす。

 水をしたたらせにらみ合う灰と赤。



 マリスタは勝気かちきに笑った。



「はぁ……ふふっ。随分ずいぶん大きなかみなりだったね。魔力は温存じゃなかったのかしら!」

「るッせェっ……! もうテメェだけにムチャクチャさせねぇぞッ!!」



 ロハザーが紫電しでんを手にまとわせる。

 前に、マリスタは動き出していた。



「ハッ!」

「!? チッ――」



 マリスタが放った一発の魔弾の砲手バレット

 ロハザーがそれを避けながら放ったいかずちは、――マリスタにはかすりもせずに地面へと着弾、分散して消えた。



「く――そっ!」

「っしゃ!! ヨウドウってやつ成功!!」

「てめえ!」

「おおっと!?」



 矢継やつばやにマリスタへびる電撃でんげきの矢を、マリスタは危なっかしい足取りではあるが確実にかわしていく。



「てぇいっ!」

「チィッ――」



 み込み、水のぼうを構えてロハザーへせまるマリスタ。

 ロハザーは当然のごとくその一撃・・・・を想定して魔法まほう障壁しょうへき展開てんかいし、



 ぼうを手放したマリスタが拳を振りかぶったのを、ながめることしか出来なかった。



「!?――」

「ザコって言ったの返上しろ、このバカ――!!!」



 ――手でのガードを突き破り。



 マリスタのこぶしが、ロハザーのほおをドガンと打ち抜いた。

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