07
迷う私達に向かって口を開いたのは、会のリーダーだった。
この人は、存在感だけは無駄にあるから、こういう時に状況を動かしていくのだ。
そこから述べられるのは、私達の知らなかった、ここ最近の彼の日常の一幕。
彼曰く。
この場には、彼にしか見えない未来の人間が存在している事。
彼曰く、その未来の人間は彼の子孫である事。
彼曰く、その人間に聞いてここ数日の大まかな出来事の予知も的中していた事。
彼曰く、これから大変な事が起きるが、その未来の人間の知恵を使って私達は助かるかもしれない事。
「つまり?」「未来分かるってすげー」「アホが。黙ってろ」「誰がアホだ」「こういう状況に関わらず」「そうやって言い合ってること自体がアホ」
馬鹿な仲間達は放っておく。
私は彼に尋ねた。
つまり。
「相互扶助ね」
「そういう?」
助けてくれるというのなら、その見返りをよこせという事だろう。
前払いの借りを返すだけだ。
私は納得した。
だが、それは総意ではない。
会の者達は、それぞれの意見に揺れてた。
だが、悠長にはしてられない。
特異点と化している私達を、本来の時の流れが押しつぶそうとしてきたからだ。
まったくのファンタジー。
現実味のない光景だったが、証拠として私達はたまり場としている集会所を一つなくしてしまっている。
予知が無かったら、きっと無事では済まなかっただろう。
その災害はつまるところ、リーダーだけに見える未来人の歴史介入がもたらしたものなのだが……。
私達は、三つ目の行動をとる事に決めた。
それに至るまでの過程で、いかに私達のリーダーが人間臭くて馬鹿な考えをしていたかを思い知らされ、延々と吐露されたが、それらは割愛。
あくまで私の個人的感情に基づいての意見だと前置きしておくが、これだけ記しておく。
巻き込みたくない?
もう充分巻き込まれてる。
「歯ぁ、食いしばれぇ!」
「ちょ、ま……」
女々しい男は嫌いである。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます