第5話


桜の季節も終わった。


初夏の日差しが強くなってくる、これから暑さの本番を迎える頃。


彼女は、妊娠をした。


二人ともやっぱりそろそろ、この子、この人、結婚をしたいなと思ってた頃合いである。


彼女は、どうしようもなく暑さに弱い体質であるが、当時はモー娘の「ハッピー・サマー・ウエディング」が格好良いなって思ってたらしい。


僕は、現実的にどんどん大きくなるであろうお腹を気にしていた。


妊娠三ヶ月の初期までの内で、改宗をして1代目となった家の宗旨の式を上げようと提案をした。


当時は、仏式を嫌がって来ないお父さんを説得して呼ぶのは諦めて、彼女の方を説得した。


御供養も僅かな費用で済ませて戴けた。


三ヶ月のお腹ならば、何度か経験があると気付けの先生を、仏式と言った様に縁のある寺院の積極的な女の子が呼んでくれた。


ちょっとお着物キツくない?


彼女は、心配をする。

ベテランの先生ならばと安心はしてくれた。


僕は、ヤフオクでも良かったが、奇遇にも電車の忘れ物市の開催で、お買い得なタキシード。


彼女は、小柄なな方なのでAラインの裾の広い純白のドレス。


仏式なので、御住職様の導師で、題目、読経、唱題。


事前に商店街で、お買い得な指輪を、月形、星形、二種類、購入しての交換。


お色直しで、彼女のウエディング・ドレス。


得意の薄目のナチュラル・メイク。


ちょっと、珍しい寺院での洋風のドレス。


御住職様の「ほう!」の一言が出ました。


サプライズのウエディング・ケーキの登場で2段ケーキへ入刀、始めての共同作業。


甘さは控えめの苺のケーキをお茶と頂いた。


最後に皆で記念撮影。


無事に式は済んだ。


タクシーを呼んで、踊り場、入り口で誓いのキスを軽く交わして、写真にまで収められた。僕は、嬉しかった。


プリンセス・シンデレラを馬車に乗せる気分で彼女を車に乗せる。


近いので直ぐに着く。


御得意のお姫様抱っこで階段を上る。


うちは、大学の側で学生の通る時間だったので若い子達数人に見られたりもした。


そのままエントランスで彼女を立たせて部屋の中へ。


部屋に入ると、 長時間で流石に、疲れきった様子の彼女は、ささっとドレスを脱いでよれも気にせずに、ベッドに横たわってしまった。


すぐに眠ってしまったのかもしれない。


僕は、やっぱり、本心では、一人は寂しく感じてた。


結婚して、お嫁さんが出来て、後には妻と呼ぶ相手になって子供まで授かった。


幸せでいっぱいな気持ちだった。


彼女は、大好きな人と一緒になれたと言う。


式には来なかったけども、彼女のお父さんは花嫁道具を全て大手ショッピングセンターで新品で購入をしてくれた。


僕は、中古で十分だし機械はネットで調べれば不具合にも対応が出来る、


父さんは仕事でエンジニアの専門だった。


それ譲りの機械マニアみたいなものなので、自分等で揃えても良かった。


けども、お父さんの好意を無駄にしない事とした 。


娘の頼みだと、新居に引っ越しの手伝いもしてくれた。


だが、僕のすすめ通りに引っ越し屋へ頼めば良かった。と、言ってた。


彼女は、費用を少しでも抑えたかっただけらしくよく分かってなかった。


少し話が前後するが、彼女は当所、僕と一緒ならば、子供は要らないと言ってた。


原因の1つは出産の恐怖。


彼女は、男の子、女の子、どっちが良い?


聞いてみたら、家系を大事にしたいことは先に言っておいたので、男の子。


ちゃんと、答えるので産み分けの方法は調べて知ってたのからそのつもりで妊娠をしてもらった。


彼女は、子供を授ずかった事に対して「おめでとうございます!」と周囲から言われる。


だが、恐怖感から、妊娠のつもりなんてなかったからって堕胎を言い出した。


僕は、已む無く強い口調で、(お腹で赤ちゃんが一生懸命に生きてるのにそれを)殺すのか?!痛い、恐い、は分かるから僕も付き添って上げるという事で、涙ながらに恐怖心を訴える彼女をまた説得した。


彼女は、妊娠から週一、掛け持ちで週二のバイトもやめた。


やはり自宅で眠り続ける毎日だった。


それから暫くして3ヶ月頃の悪阻(つわり)は酷い方でかなり苦しんでた。


軽い中毒症にも掛かってた。


妊娠中期は、性別の分かる頃だが病院の方針で性別は教えない。


超音波写真でも殆んど、どっちか分かってたけども。


彼女は、病院は、方針で、妊婦に薪割りや、山登りを経験させる一風変わったところを選んだ。


少しは参加をして、シャワー、浴槽も借りれると話してた。


他は、眠って過ごす。


出産は、予定日より調度、1週間早かった。


至っての、安産。元気な男の子だった。


普段から眠そうな彼女だったが、余りの初産の陣痛の苦に驚いてた。


出来れば、一番落ち着く自宅で、付き添いをと想定してたのが、耐えきれずに、産院の市外まで走らせる途中のタクシーの車内分娩。


せっかくなのでとブログに書いてみたらそれを見付けた関東ローカルの記者の女性からの連絡。


地元から取材のカメラマンさんやら照明さんやら、東京からその女性がこちらの地元の出身の美人の女優さんまで連れてきた。


その美人な女優さんのオーラ?とも言うべき雰囲気はすごい。


用意した色紙にサインまでも戴いた。


長男が3才?4才?過ぎぐらいだったと記憶してる。


さらに月日は流れて、長男が小2頃。


二人目を妊娠。


案の定、また不安定になった彼女は、最寄りの産婦人科に下ろすべきかどうかの話しかしない。


「中期に入ってもう赤ちゃんがこんなに大きくなってるんだよ!」


先生から説明をされても意味が理解を出来ず已む無く病院からは受診の拒否。


僕は、早めに安心させて上げたかった。


市内のセレブ出産で有名な産婦人科医院をすぐにネットで探して調べて受診をさせた。


バース・プランの項目に無痛分娩のチェックをしてやっと安心してくれた。


メンタルにもずっと通わせて、特に二人目は自ら近所の名医の個人のクリニックに通ってた。


中期には、産婦人科医の超音波の検査で女の子と分かった。


パパは喜んでいます。 (大事な事なので何回も言いました。)


産後のメンタルの検査で貧血も出てた事があるからなのだろうか?


過呼吸が出ることも多い。終われば収まる程度のだが。


二人目も安産。予想通りの女の子。


今では、保育園の影響が大いにあるのか?長女は一人でもお人形さんやぬいぐるみとずっとお喋りをしてる。


ママは眠い以外の口数の殆んどない幼児期だったらしいので、ちょっと不思議そうに見てる。


関係は、端的に友達親子。


長男も随分大きくはなったが、友達も多いけども、未々、パパとも遊びたがる。


公園で野球やらショッピングセンターのゲーセンやら外食も好きだ。


あなたは、3才で洗濯の物干しを教えて、6才から袋ラーメンを自分で作れてたのだから。


おうちごはんにしなさい、ってよくママに言われてる。


いろいろあったっけどもごく普通の一般的な家庭に落ち着いた。


ママの記憶も徐々に戻りつつあって本当に演技でも何でもなく思い出せなかったらしい。


夫婦はいつでも仲が良い何てことはなくそんなのは幻想だ。


些細な事で喧嘩もする。


けども。彼女も、僕も、産まれてきた子供たちも。


みんなで、愛し合ってる。


という事実は、末永く続いて欲しい。


ときおり、願ってやまない。


(続く)

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