第2話


翌朝はアラームで目覚めて出発。の前にめぐみに電話。


「今からそっち向かうぞ。」


「起きた。」


彼女の自宅近く、再度電話。


「出れる?」


「今から出るとこ。」


「駅の途中の自販機のとこいるから。」


「すぐ行くね。」


待つ間プレゼントを手に眺めてた。


気配でめぐみだと気付く。


気付くと彼女はニコリと笑顔が自然にこぼれた。


初めて見るめぐみの笑顔。可愛い。


「なに?なんだった?」


「もう渡すよ。これ初めてのプレゼント。誕生日にはもっと良いもんのにするから楽しみにしててくれよ。」


「?」


「開けるね。」


包装とリボンと箱。


中身はラベンダーの、アロマ・オイル。


追加で、駅前の花屋さんでブーケ。


カスミソウ、白や黄色やオレンジのガーベラ、1輪だけの赤い薔薇。


「、、、綺麗なお花。」


「こっちも、ラベンダーには不眠に効くらしい。集中力も上がるらしい。」


「、、、。」


「めぐみちゃんってさ。ほとんど生まれつきの病気みたいだよ?」


「?!」


全く気付かなかったらしく驚いてた。


同時に自主的に服薬してない事も理解した。


「ちょっと、腕良い?違う。左腕。」


一応、脈を診る。


「今度は右腕。」


持参した血圧計を小振りなリュックから取り出して右腕の関節のちょい下に少し弛めに巻いて計測。


待ってる間のめぐみは、何をされてるのだろう?ちょっと不安げであるが、此方は必要を感じてやってることなので。真剣に数値を見てる。


血圧 60 30 脈拍120 (不整脈のマーク)


殆んど、確信をしながら血圧計を外して仕舞う。


「やっぱりな。よりも問題の薬も入れられてるかも。」


「なに?何が考えられる?」


「端的に結論から言うと、毒。」


「?!」


「薬と称して毒を入れられてるだろうな。ってこと。副作用とかってマトモな主作用がなかったり。薬の名前って間違えやすい。似て非なるものも多い。」


「、、、」


「両親と話し合いなよ」


「お父さん苦手。」


「ちゃんと話し合えって。それは楽な方を選ぶべきじゃない。」


「お母さんは話しやすい。」


「女同士だからね。」


「めぐは、先ず近所の内科で綜合病院の紹介状をお願いして、病院のカウンセリングでも何でも受けるべきだよ!」


後、大学病院は設備重視だから手術やらはおすすめできるけども、研修医の練習代にされる事が多すぎるから。名医を探した方が良い。」


「それから大学病院は大金を積まないと名医にも会えないから。俺らみたいな貧乏人は、個人のクリニックで良い先生を探すか、或いは、医者の通う病院が一番良いからそうするべきかも。」


少々焦りからか、活字にすれば、長文になってしまう感じだ。


「どうしよう。というかどうして。」


笑顔が不安気な表情から泣き顔に変わろうとしてる。


「少し時間をおいて考えよう。」


前から気になってた。


いつも彼女は手袋をしてる。夏は暑そうだがそれでも取らないで隠すためにどっかに逃げる様に隠しに行くことも多い。


その手袋を初めて外した。


テープと絆創膏で、殆んど全体が痛々しい程に気の毒な傷だらけ。


それでも好きなデッサンはやめないらしい。


「総合病院に数回だけ搬送をされた日は、主治医の先生がこれは大変だって、金属音のカチャカチャが苦手で、眠った。起きたら、ホワイトテープを巻いてくれてた。看護婦さんが娘さんがこんな状態で泊まってかれますか?って言ってた。お父さんは放心状態で、お母さんが即答で帰りますって答えてた。もしも一泊だけでも、入院をしたら、1食ぐらいは上げ膳据え膳だっけ??食べれたのかな?」


「お母さんの運転の後部座席で自転車で満月が追っかけてくる話みたいのはたのしかったけど。」


単に女の子と付き合いたいとかそういう感情とは別の何か。


俺もこれまでそれなりに受験やらで苦労をしたが運が良かったのだろうか。

気の毒、としか言葉しか出てこない。


今しかないとばかりに言った。


「めぐみちゃん。俺と付き合ってくれ!」


「?」


「病気も良い病院やら名医やら探す!」


「付き合うの?」


「放っておけないんだよ!思った。」


「そうなの?」


「もう一度言う。僕と付き合って下さい!」


頭を下げる。


そうして顔を上げると、戸惑う彼女。


「嫌、なの?他に好きな奴でも?」


首を横に振る。


じゃあOK?


(頷く)


「わかった。」


俺は、めぐを近くの公園に連れてってベンチに座らせた。


やっぱり眠いのか肩を枕にされてぼんやりしてる。


結局めぐは眠ったので、僕もそのままベンチで眠る事にした。


気温が下がってきたらしく。


「寒い!」


めぐは起きた。つられて起きた。


「今日は僕の家に来てみる?飲むアロマって、医師に相談をしながらの治療法もあるらしい、アロマ・キャンドルも買わないとな。」


めぐは頷く。


「両親の連絡は。」


「したくない。」


不義理とも思いつつもめぐが怒るのも当たり前だ。


自宅は市内でも東西で少し遠い。


一応、両親に連れてく旨の連絡をした。


移動中はずっとめぐを支えてやってる。


それが安心するのか、乗り換え以外は寝てる。慣れたし返って安心だ。


自宅に帰る。


「只今ー。女の子連れてきた。」


父さんが出迎えた。


「始めまして。お名前は?」


「めぐ、、、めぐみです。」


「なんだお前にもやっと彼女が出来たのか。」


「いきなり何なんだよ!///」


「いつもいってるだろ?早く自活して、ナンパでも何でもフィアンセ見つけて子供つくって家庭持って。」


「父さん!めぐみが混乱すから先走りな話をいまするなよ!」


「めぐみちゃんか。お前には勿体ないからお父さんがもらっちゃおうかな~?な~んてな。冗談だよ。」


「なんにもないけどゆっくりしてってね。」


「はい。ありがとうございます。」


「お母さんは、連絡があったぞ。」


実は、僕も、黙ってた事で加担したことになる。


実は、これは父さんの演技で、両親は既に離婚をしてた。


だが、僕が初めて家に女の子を連れてきたって、喜んで連絡をしたらしい。


「せっかくだし出前でも取りましょうか?ジョンくんから聞いたのよ。虚弱だって。外食もキツいでしょう?何が好きかしら?」


「、、、何でも良いです。」


「じゃあお寿司で良いね。ジョンくんはピザが好きだからそれも頼もうか。」


「すみません。」


「気にしないで。」


出前が届く。


「戴きます。」


「めぐは食べながら寝そうである。」


「大丈夫?ジョンくんからいろいろ聞いたのよ。お布団敷こうか。」


めぐの携帯が鳴る。


あからさまに嫌な表情をする。


「、、、お母さん?うん。わかった折り返す。」


「お父さんが早く帰れって。」


「仕方がないわね。次はゆっくりしてってね。」


ふいに玄関の開く音。


「ただいま。」


「おかえりなさい。」


「めぐ。うちの母さん。」


「初めまして。めぐみです。」


「初めまして。」


「あの、そろそろお遑させて戴きます。ご馳走さまでした。しつれいします。」


そう言って駆け出す彼女。


俺は、その後姿を見つめていた。

~~~~~~~~~~


月曜になって学校に着いたらクラスメートの仲が良い奴で、中田、竹之内にすぐに自慢してみた。


「多分、俺、彼女が出来た。」


「マジ?どんな子?」


ちょっと、というか、悩んだ末に当たり障りのない返答をする。」


「まー、普通に可愛い子だよ。

美術学科だとさ。

エヴァで言うと。

俺は、元はアスカ派なんだけど、綾波さんみたいな雰囲気。

とらドラでいうと逢坂大河みたいに華奢で小柄の。

長門有希みたいな眼鏡の大人しくした感じの子。

綾波さんみたいに父親にだけ良い顔をするのとは逆のタイプかな。

優しい女の子だよ。

大河みたいに成績優秀という程でもないけども喋るとそれなりに頭が良いのが分かる。狂暴なとこもないし。

長門みたいに本は読まない。『不思議の国のアリス』みたいな理論で、絵のない漫画は読む意味がないらしい。いつもどこでも寝てるけどな。」


「なー、写メとかねーの?」


「数枚はある。」


「見せろって。」


「ほれ。」


「、、、先を越されたぜ!俺にくれよ!は冗談だが、でも、ちょっと、痩せてね?」


「童顔だけど本当に同級生?飛び級じゃなくて?」


「家庭の事情が複雑なんだとさ。」


「あと女子高生二人誘って遊びに行こうぜ!俺今フリーだから。」


「僕も、フリーだけどどっちでも良いですよ。」


ちょっと困った。


「彼女がOKするかなー?学校にも殆んど顔を出してないって話だし、病弱なんだよ。」


「なんか気の毒だな。じゃあ具合悪そうになったら俺らでフォローしてやろうぜ。基本はお前が介抱しろよ。」


中田がノリノリでそういう軽い感じ何だが、突っ込みやすくそういう意味で付き合いやすい。


竹之内はちょっと存在を忘れられそうな印象の薄い好青年といった感じだ。


実は、朝比奈とは同中だが、ここにきてそれなりに仲良くなった。


「女子二人はどうする?」


会話を聞いていたクラスメートの金髪?茶髪?で化粧はケバケバのハデハデで見るからに筋金入りのギャルが割って入ってきた。


「なに?合コン?イケメンくんの?」


「イケメン?俺は勿論行くぜ!」


俺は中田の発言に呆れる。


「中田ってちょ~面白いね~!この3人だけ?」


「いまんとこな。なんなら他のクラスも誘ってカラオケ大会でもすっか?」


二人めのギャルが喋る。


「OK!オール決めちゃう?」


さすがに制裁をする。


「俺ら未成年だぞ?保護者の付き添いもなしに学校帰りにカラオケでオールはダメだって。」


「ふーん。ジョンくんって意外と固いんだね。何?風紀委員?ちょ~受けるんだけど~!!」


内心いらっとしたが堪えた。


「センコーに見付かったら内申に響くぞ。それでも良いなら止めんけど俺はパスする。」


さらに別の特に印象のない普通な感じの女子も入ってきた。


「私だよ。風紀委員って。まー、しょうがないねー。土日の休み、、、。もういっそ平日の午前でも休む?風邪で病院とかって。」


「致し方なく、俺は妥協した。」


「1クラス分ぐらい集めちゃう?他校も誘おうよ!」


「すっごいねそれ!ネットのダチも集めてオフ会だね~!」


勝手に話がすすむ。


俺はめぐの事しか考えてない。


誘って来る来ないは現時点で五分五分だ。


眠いのと年中風邪を引いてる感じの子なのだが付き合い出してからは何も断らない。


余談だが、彼女とは、手を繋いだのと、公園のベンチの抱だけで他は何もない。


俺的にそれで十分と思ってるからだ。


更に正直な事を1つ上げれば、俺も軽度ではあるがメンタルの病気の傾向がある。


日本の法律では男子18才女子16才からだったのが、男女平等をうたう声でなのか現在では一律で18才からの結婚が認められてるが手続きの話だ。


古代旧石器時代には何歳から出産が一般だったのか流石に不明で論証はないのである。弥生、飛鳥時代辺りでは12才から14才の出産でも当たり前だったと古事記他にはある。ちなみに王族、貴族、の話である。女性の生理がめどであろう。


医学的な出産の適齢期は23才から24才とも聞いた事がある。


ともかく、めぐの体を考えると寿命も気になるが医学の進歩に多いに期待をしてる 。


内心では結婚を考えてるという事だ。


俺は一人っ子で何でも親から与えて貰ったがやっぱり寂しいので子供は欲しい。


そうこう考えてるうち竹之内に声を掛けられた。


「考え事?気分でも悪いの?」


「いや、なんでもない。考え事の方。」


「めぐみちゃん?」


頷く。


「僕も気にはしとくよ。 」


予定は翌月の終業式に決まった。


スマホでめぐに聞いてみる。


「カラオケ?苦手。」


「どうして?」


「1度、皆の前で歌わされて、歌詞の内容でで涙声になってから。恥ずかしくて、もう、ヤダ。カラオケ嫌い。」


感傷的な子なんだな。


「分かった。次、同じことになったら俺が全力でフォローする。だからせっかくだから、来て欲しい。」


「はい。」


(続く)

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