第9話 無理やり

「ヒロくん嫌がっているね。でもね……」

ソフィーは優しく僕をただ、抱きしめ続けた。

僕は何度も逃れようとしたけど、ソフィーはそうするたびに

強く抑え込んで、僕をキスした。


好きだった人に、ただ抱きしめられる。ソフィーはそれ以上のことはしばらくしなかった。そして眠くなってきた頃ソフィーは、

「脱がしてあげるね。」と言った

彼女から逃げるとしたら、それがラストチャンスなのは分かった。

でもリカ先生の「一回はする義務がある」という言葉が引っかかって、その気にはなれなかった。それにソフィーは優しくて、そして、悔しいことに慣れていた。

ソフィーの手先はそっと僕の体をくすぐった。


シャツを脱がすとソフィーはそっと僕の胸に手を這わす。そしてゆっくり下に手を滑らして、足の根本に目をやると

「ヒロくん、可愛い。」と言った。

彼女の視線の先には、チャックの付近の膨らみがあった。

「キライだ、ソフィーなんて……。」

力なくそう僕はつぶやいた。


彼女は僕のズボンをゆっくり丁寧に脱がしていく、すると僕はもう彼女に嘘をつけない状態になっていた。

「私のこと。まだ、好きなんだね……。良かった。」

股間にある嘘発見器が彼女に真実をすべて伝えてしまう。彼女はそっとそのレバーに手を触れるとそれをふわっと口で包んだ。彼女の手は逃げられないようにしっかり僕をつかんでいた。

その瞬間に僕は腰から力が抜けて、立って入れなくなりそうだった。

「ん、んん」

彼女の舌がゆっくり僕を追い詰めていく。気がつくと僕は彼女が本気を出すまえに、観念してすべてを吐き出し、ぐったりしていた。そして彼女はとどめの言葉を言った。

「気持ちいいの?私が淫乱なヤリマンでも?」

僕はもう、嘘をつくことも、意地を張ることもできなかった。

「今日はもう、無理かな?でも、少しづつ色々教えてあげるから。」


僕は気づくと寝ていた。そして朝になると何事もなかったようにリカ先生とユミが朝食を取っていた。

「ヒロ、ソフィーから事情は聞いたか?」

「いえ……」

「ソフィーはな、拒否する権利はなかったんだ、よそ者だから、投票で追放を入れられると村を出ていかないと行けない。」


とその時ソフィーがベットから起きた。

「少年よ……。ショックに感じるのは無理もない。しかしな、実のところ彼らの相手をしたのは管理人の私で、ソフィーは偽りの記憶を私によって与えられているに過ぎないのだ。それでも、彼らを受け入れざる得なかった彼女を許せないのか?」

「はじめまして、というべきかなお二方には。私は管理人ラフィー、ソではなくラだ。この一帯の地域を統括する管理人だ。」

僕は混乱した。でも心は二つに分かれていても体は一つなわけで……。それはソフィーがしたのと何が違うのか?割り切れるものでは到底なかった。

「ふふ、少年よ。ソフィーはセックスについてリアルな知識は持っているが体は処女なのだ。彼女の鞄には、彼女の体を投影する機械が入っている。体は投影物にすぎず、我らの本体はその鞄の中身なのだ。理解してもらえるかわからないが、そうだ、怪我が一瞬で治るのもそれが理由だ。エネルギーが鞄にあるかぎり、それは有限ではあるが、体を全取っ替えすることも、修復することも自由自在なのだ。つまり、今の私は昨日お前が触れた体を持っていない。ということは理解してもらえただろうか。」

……どういうことだ。彼女は、彼女は人間ではない?ということなのか。

僕はますます混乱していった。














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