第3話 村のアブナイ学校

 クラスの男どもは今や、大人の魅力のリカ先生派と無垢で純粋でかわいいソフィー派に分かれて毎日議論に議論を重ねているところだ。結論はなかなかでない。

「男なら、リカ先生だろ。おれは諦めないぜ!。」

「いや、ソフィー、可愛いよな。それに誰でも受け入れてくれるような優しさ。惚れる。」

そして、無視する女子、それを冷たい視線で見る女子、からかう女子。これが最近のクラスの定番の日常となっていた。


ソフィーに逢いに行くためにイヤーな神父のいる教会に足しげく通う僕であったが、いつも不思議であったんだ。僕以外の男は「なぜ、彼女に逢いに行かないのだろう」

と。


「アダムとイブは選ばれた。そして、結ばれることになる。そして楽園へ……。」

神父はボソッとつぶやいた。その時あまりに唐突で不自然な言葉にギョッとしたが、深くは考えなかった。まさか自分が選ばれたなんて、誰が思うんだ?


ソフィーは新参者で怪しい。その根拠は手荷物検査した時、彼女が持っている鞄がどうやっても開けることができなかった、というのが原因であった。何が入っているのか?当然気になり

「それ何が入ってるの??」

と聞いてみると、

「大切なもの、でもヒミツ。」

と彼女はいつも答える。


彼女が肌身離さず鞄を持ち歩くのを見て、教室でも、ある時に、

「ねぇ、何入っているの?本当に???」

と興味本位に聞いてしまった。

「お前、子供か……。」

リカ先生登場。ヤツに、ヤツに聞かれてしまうとは不覚以外の何モノでもない。

「ヒロくんのエッチ!ソフィーちゃんの鞄には女の子の悩みが詰まっているの!男子は知らなくていいんだから〜。」と女子Y。彼女はこの村唯一の雑貨店の長女である。村の情報の中心にいるだけあって、彼女の耳に入ったら、村全体にそれが知れ渡るのは確実なのは間違いない。ヤバい女に気づかれたものだ。

「ユミ、いや、いいやもう。僕エッチで。はい認めます。」

僕は誘導尋問の達人である彼女の前で一言でも多く話すことが危険であることを察知し黙った。男の子の悩みを解決してくれる本、つまりはエロ本を唯一扱っている雑貨店のお得意様である僕、というか男子全員はユミにはなんとなく引け目を感じているはずである。

「タイプだものね?」

おい、やばい方向に話を振るなっ。情報通は男子がどういうタイプが好きか詳細を把握している。情報源はもちろん本の購入履歴に違いない。

「否定はしない。」

ユミはウインクして、

「友達として、まぁ、今回は目をつぶっておくか。」

と言い、

「好きな子イジメもほどほどにね?。」

と耳元に息だけの声でささやき、付け加える。学校の授業開始をつげる鐘が鳴りひびき授業開始の時刻になったようだ。どうやら今日はもう、これ以上追求は受けずにすむかなと思った矢先、時間割を見てそれが大きな勘違いであることに気づくのであった。

「次、保健体育の授業だね?」

ええ、そうですね。はい。











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