準決勝

 準決勝を前に、運営から発表があった。それは、脱落したメンバーの処遇についてである。4人でユニットを組んでタイプCのカップリング曲を歌うことになったのだ。この発表は、タイプB、そしてタイプAの存在を暗示している。Bが4人となれば、Aはソロかもしれない。そう思わせる発表だった。


 20センチメートルのハンデを貰ったゆとりは、何の波乱もなく順当にゴールインする。ゆとりは最後に右に曲がり、2番を手にした。ゆとりは、さよりを潰しにきたのだ。決勝戦で自分の右側に左利きで腕の長いさよりを置きたくなかった訳だ。決勝戦を意識しつつも、汗ばんだ身体に砂1つつけることのない、完璧な勝利だった。

 対するさよりは、砂にまみれながらもフラッグを掴み取っていた。左利きが幸いしたのだ。センターフラッグを手にしながらもその表情は固く、爪を噛んでいた。この2人は、既に決勝を戦っているのだ。

 最後に残った3番旗は、奈江が手にし、決勝メンバーが確定した。

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