第4話 2017/07/07

 私の通う学校は森野第一高校と言って、大抵の受験生の受け皿となっている高校だ。

 学年の人数も多いはずなのだが、私には友達というものが少ない。

 正確に数えたとして、両の手で数えられてしまうほど。

 そんなわけで、つまらない7時間の授業を乗り越え、終業のチャイムとともに机に突っ伏した私が次に目を開けたときには外はとっくに暗くなっていた。

 時計の針は8時になりかけていて、校門が閉まる時間が迫っている。

 誰か起こしてくれればいいのに、なんてどうにもならないことに怒りながら、荷物をまとめて、急ぎ足で校門へと向かう。

 今朝の三原さんの誘いを思い出して、その時の私は青くなっていただろう。

 だが、やはり三原さんの姿はなく、明日謝ろうと心に決め、帰路を急ぐ。


 暗くなった道は生ぬるい風が吹いていて、どこか嫌な感じがしていた。

 七夕だというのに生憎の曇り空。


あなたは王子様に会えなかったのね。


 と、見えもしない織姫に声をかける。

 そして、私のもとに王子様はいつやってくるのかしら、なんて夢見がちな乙女みたいなことを言ってみたりなんてして。


 家に帰ると、母親に何してたのか聞かれたが、寝ていたと答えるとそれ以上は問い詰められなかった。

 すぐに部屋へと戻り、制服のままベッドに倒れ込むと引きずり込まれるようにして深い眠りへと落ちていった

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