星からのメッセージ
「ルナーっ!」
ボクはその星の名を必死になって叫んだ。
長い銀色の髪に夜空のような濃紺の瞳の彼女は、確かに一際明るい流れ星だった。
サーッという音とともに、ルナは僕の目の前に降り立った。
「久しぶり、ルスくん・・・」
掠れた声でそういうルナの目からは既に涙が伝っていた。ボクもそれにつられて泣いてしまった。
「ルナ・・・久しぶり」
「なんでルスくんまで泣いてるの・・・、泣くのは私だけでいいのに」
すると、ルナはボクをきつく抱きしめてきた。
「ありがとう、見つけてくれて・・・。声、ちゃんと届いたよ」
「ボクはルナのことを信じてたから。どこにいたって絶対に見つける、って約束したし。だから逢えたんだよ」
ルナは、ボクに久しぶりの笑顔を見せてくれた。
その笑顔にどれだけ励まされて、どれだけ幸せな気持ちになれたんだろう。
今までの日常が、こんなにも大切で、かけがえのないものだったことに今更気がついた。
でも、次に逢えるのは707億年後。
ボクの星はそれまで生きてるのかな。
「ねぇ、ルスくん、見て」
そう言われて空を見上げると、さっきよりもたくさんの流れ星が空を駆けていた。
「あの流れ星ね、みんな終焉星。別れた人にもう一度逢いたい、っていう強い思いがないと来れないの。
終焉星の中にはね、新星と共命になって第2の人生を歩んでる人もいる。ルスくんのお父さんとお母さんも、この世に未練が無くなったから、って新星と共命になった。私の家族もそう。
でも、前世の記憶はなくなってた。覚えてたのは、前に共命だった星の名前だけだった。
ねぇ、もしも私が新星と共命になって、記憶を失っても・・・。また私を見つけてくれる?」
ボクはうなづいた。だって、答えはもう出てるから。
「さっきも言ったでしょ、絶対に見つけるって。でも、それまでにボクが終焉星になったらどうす・・・」
「そのときは」
ルナはボクの目を真っ直ぐに見てきた。
「そのときは、私がルスくんを探す。大丈夫、ルスくんは数多の星の中から私を見つけられたんだもん。私だってきっと見つけられる」
揺るぎない、決意に満ちた目だった。
「そろそろお別れだね」
「そっか」
ルナは泣かないように、と涙を堪えていた。そして、満面の笑みを浮かべて、
「最初のお別れのときはちゃんと言いきれなかったけど・・・。
ルスくん、大好きだよ」
「ボクも。ルナ、今までありがとう」
悲しかったけど、笑顔で送り出せた。
「また会おうね!!」
こぼれ落ちそうな星空の中、2人の声は夜の風に吹かれて鮮明に響き渡った。
またね、と振った手は少し霞んで見えた。
めぐり星ーMessage of a Starー 大祝 音羽 @senasyugetsu
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