終焉星

「星の日まであと10年あるのに、どうしてこんなときに・・・」

「まだあの子は・・・」

「ありえないわ」

村はその話題でもちきりだった。

星の民は、占星術を得意としていて、星の日の前には必ず次に寿命を迎える星、終焉星がどれかを占う。

ほとんど毎回、10年のあいだに終焉星はなかったけれど、今回はあったらしい。でも、誰もその星を知らなかった。ボクが問いかけても、分からない、知らないと返ってきた。遠くにルナを見つけ、ルナに聞こうと思って、さっそく問いかけた。

「あぁ、終焉星?ごめんなさい、私も分からないの」

ルナはいつものように笑った。ボクはお別れの時には分かればいいや、と思って、いつものように星の観測にルナを連れた。

「ベテルギウスの色・・・なんかおかしくない?」

ボクはベテルギウスの異変に気づいた。ルナもベテルギウスをちらっと見ると、驚いたような顔をした。

「なんであんな色をしてるんだろう・・・。星の日が近いからかな?」

「ボクの時と同じだ。ボクも、星の日が近いんだなぁって思った日、ベガが明るく見えた」

「あれやっぱり幻じゃなかったのね!」

ルナは予想が当たった、と笑った。

「あ、流れ星!」

ルナが指さす方には、確かにひとつ、ふたつと流れ星が流れていた。

「アウグーリオ流星群・・・じゃあないか」

「多分別の星座の流星群ね。あっ、願い事しなきゃ・・・」

ボクとルナはともに願い事をした。

お互い、願い事の中身は内緒だったけれど。


「せめて星の日まで、終焉星の人が生きられればいいな・・・」

「そうだね」

ルナの星を見る瞳は、いつもと少し違うように見えた。


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