めぐり星ーMessage of a Starー
大祝 音羽
同じ星のもと
「もうすぐ星の日か」
星を見上げながらボクはつぶやく。
「そうだね、もう千万年経つんだ・・・」
千万年に一度訪れる星の日。
ボクがその日を経験するのは今年で10回目。ルナも同じだった。
でも今度訪れる星の日は、いつになく珍しい。
707億年ぶりに、アウグーリオ流星群んが訪れるからだ。その流星群は、星の民のあいだでは"めぐり星"と呼ばれていて、遠くにいってしまって会えなくなった人にもう一度だけ巡り逢わせてくれるという伝説と共に語り継がれている。
それを実際に見た人も、もう長老だけになってしまった。
ボクたち星の民は、星と命を分かちあっている。だから、死ぬ時も星と同じ。最近では、長老と同じくらい長く生きていたリスティルが死んでしまった。
シリウスが寿命を終えたからだった。
ボクたちは、それぞれ違った星と命を分かちあっている。ボクはベガ、ルナはベテルギウス。自分の星が寿命を終えれば、ともに死ぬ運命。
これまで、そうやってたくさんの星の民が死んでいく所を見てきた。
だから、母さんや父さんが死んでも、泣かなかった。めぐり星の伝説を信じていたから。
何よりも、父さんと母さんがめぐり星を信じて生きてきたからだった。
「いつかめぐり星が逢わせてくれるから、それまでの別れだよ。あと何億年後かに・・・絶対に逢おうね」
そう言って別れてきた。
その逢える日が近づいてきている。
心なしか、ボクの星もいつもより明るく見える。
「ベガ、いつもより明るく見える気がする」
「え、独り言聞こえてた?」
「何のこと?ただそう思っただけだよ」
時々見透かしているような事を言うルナに毎回焦る。
星を眺める時はいつも一緒で、他愛もない話で盛り上がって、逢いたい人の話をして。
そんな日常がボクは大好き。
「星の日、誰に逢えるかな・・・」
「まだ星の日まで10年残ってるよ?そんなんじゃあ、待ちすぎて首が伸びきっちゃうね・・・」
2人で顔を見合わせて笑った。
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