年末から1月末までのこと

職場復帰と12月

 平成30年12月4日火曜日から、久しぶりの出勤でした。

 次女も自分で歩いて学校へ行きました。

 一年で一番忙しい時期に復帰したことを、同僚たちは少し心配しているようでしたが、6ヶ月という期間があったので、これはもうどうしようもないのだと私は努めて笑顔で伝えました。

 復帰後、課長に呼ばれて言われたのが、

「申し訳ないけど、『休暇明けだから』『慣れるまで時間がかかる』っていう言い訳は通用しないから。今日からフルでやってください」

 ということでした。

 わかりましたと返事はしましたが、正直、半年の休業期間というのはすべての感覚を鈍らせます。しかし、現実はそういった事情には全く考慮してくれません。初日から復帰前と同じ動きを求めているわけですから、とても大きなプレッシャーがかかっていました。

 前日まで休んでいたにも関わらず、すぐに目標数字を求められ、

「休んでいたのでアポもないし、何の目星もついていないんですけど」

 と伝えましたが、

「そんなのはいいから、今月の数字どれくらいやるの」

 と、そういう感じでした。


 長期間休んだことのある人にしかわからない感覚、というものがあると思います。

 私は育児休業も介護休業も取らせていただきましたが、その間は遊んでいたわけではなく、自分の子供の世話に没頭していたのですから、仕事の内容、自分の職場での動き方をすっかり忘れているのです。思い出す時間が必要ですが、そういうものは与えられることはありませんでした。

 窓口に付き、声がけをするか、ダイレクトメールを出してアポを取るか。架電作戦で、しらみつぶしにやってみろとアドバイスを受け、どうにかするしかないなと、自分を奮起させるのがやっとでした。


 自分でも驚くくらい、何も覚えていない。


 そういう感覚、わかりますか。


 例えば、昔は泳げたのに、いざ泳ごうとしたら浮き方を忘れているとか、昔は簡単にできた機械の操作方法をど忘れしてしまったとか。いや、呼吸の仕方を忘れてしまった、文字の読み方を忘れてしまった、料理のレシピが思い出せない、そんな感覚です。

 なんとなく、このボタンを押せばこうなる、この書類はこう扱うはずだ、というのは理解しているものの、細かい内容については一切記憶になく、一つずつマニュアルを確認しなければ先に進めないくらいで、とても以前のような働き方ができる自信がありません。

 最初だけだと思って頑張りましたが、結局、この感覚は数ヶ月間抜けることはありませんでした。


 初日から残業があり、下の子供たちは久しぶりに遅いお迎えの時間まで学童や幼稚園で待ちました。

 私もぐったりでしたし、その後の家事のことを考えるとかなりげんなりしました。

 とにかく、効率よく動いて早く寝せることだけを必死に考えました。


 次女は翌日も頑張って登校したのですが、6日の朝になると具合が悪くなってしまい、学校を休みました。

 腹痛があり、下痢も伴っていたため、夫が早退して小児科へと連れて行きました。

 無理をしたのでしょう、結局その週は金曜日まで休んでしまいました。


 翌日の土曜塾には向かったものの、天気も悪く、次女の体調は不安定なままでした。

 寒波で大雪が降り、サンルームの屋根が崩壊しました。


 厳しい冬は、容赦なく私たちに襲いかかっていました。

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