復帰前に
29日木曜日、次女が朝から学校に行ってくれたので、久しぶりに職場に行きました。制服を休憩室に置きに行ったり、用事を済ませたりしたかったのです。
丁度お昼過ぎで、総務に寄ってから休憩室に行くと、仲良くしていただいているYさんがお昼ご飯を食べていました。
再会の喜びを分かち合いながら、そのまま近況を話し合いました。
うちの次女がどうにか学校へと行けるようになったことを伝えると、自分のことのように喜んでくれて、こちらまで嬉しくなりました。
Yさんは癌で半年ほど休みを取り復帰していたのですが、未だ通院が必要とのこと。お互い大変な状況で仕事をしあってきた仲でした。
体調を気遣いつつ、色々と話を聞いているうちにAさんが加わり、職場でのことを色々と教えてくださいました。
私に辛い言葉を浴びせていたチームリーダーは、今別の人を標的にしていて、その人はもう精神的に限界を迎えていることを聞かされました。未だ新婚なのに、死について口走るようになってきたと言うことを聞き、あまりにもショックで、涙が出ました。
元々数字にはうるさい職場なのですが、目標達成のために自腹営業して生活がままらなくなってきたという話を聞き、呆れてしまいました。売らないと締め付けが酷く、売れないなら買えという無言の圧力に屈するしかないという最悪な環境が目の前にありました。
何のために仕事をしているのかさっぱり分からなくなって、とにかく辛い辛いと、話を聞いているうちに頭がぐるぐるしてきます。
先日、私立の高校にしか入れないことになった次女の学費を見て卒倒しそうになったばかりなのに、そんなことをしたら子どもを育てることが出来なくなります。
数字をどうにか作れる人ならともかく、そうじゃない人の方が大半なのに、何の打開策も示さず数字だけ求める姿勢は変わっていない……。最悪も良いところです。
「こういう職場に帰ってくるんだからね。覚悟してね」
二人は私にそう言いました。
そうなんです。
復帰しても、地獄しかないんです。地獄に居続ける代わりに給料を貰うか、給料を貰わなくなる代わりに逃げ出すか、どちらしかない。
あまりの状況に呆れ果てた私は、家に帰って夫にそのことを話しました。
「このまま続けてもダメだと思ったときにはもしかしたら転職を考えるかも知れない」
ただ、年齢が年齢なので、条件がとても悪くなるだろうなぁというのは目に見えています。それでも、このまま居続けて精神的におかしくなってしまうようなら、そうなる前に決断しなければなりません。
春に職場を去ったTさんも似たような心境だったのだろうなと、痛いほど分かります。
心の安寧がない世界でただ堪えるだけなら、精神的に安定したところで働きたいと思うのは人の常だと思います。しかし、今の給与水準は確実に下回るし、そうすると子どもたちを希望する道へと進ませることが出来るのかどうかも不安になってきます。
現実とはかくも厳しいものかと思うと、ため息しか出ませんでした。
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