期末テスト初日

 介護休業に入り、一番最初の目標である“給食の再開”を達成したあとは、次の目標、”期末テストを受けさせる”ことに全力を注ぎます。

 とは言っても、本人の体調次第ということになってしまいますが、要するに朝どうにか起こして学校に連れて行き、テスト時間に間に合わせるというのをやらなければならいわけです。

 これまでのことを振り返りますと、頑張っても給食時間からしか登校出来なかった次女を、午前中早い時間に教室に連れて行く必要があるのですから、一大事です。

 しかし、やれないこともないかも知れないという、なんとなくの手応えはありました。少しずつ早く起こすようになって、なんとなく学校までの時間に次女にも余裕が出てきたかな、と思えるところがあったのです。

 例えば、起きて自分から立ち上がり、トイレに行くときがあったとか、着替えも徐々に自分でやれることが増えてきていたりだとか。

 そういうことの積み重ねがあったので、もしかしたらという期待を持っていました。

 更に、長女と共に夜中勉強している日も出てきました。得意な教科からでしたが、少しはやる気が出たのか、テスト範囲を幾つかやっていたようです。今まで全然やろうとしていなかったことから考えれば大進歩です。

 本人も、

「期末テストは受けたい」

 と口に出すようになっていたので、あとはどうにかして本番起こして連れて行くだけでした。


 6月25日月曜日は、体調があまり良くなく、給食を食べて終わりでした。

「明日のために体力は取っておこう」

 先生も渋々ですがそうおっしゃっていました。

 26日火曜日の朝、他の子どもたちを6時で起床させるのとほぼ同じタイミングで、次女に声をかけ始めました。前日長女と勉強をしてから寝たことは知っていたので、起こしたら寝不足なんだろうなとは思いましたが、四の五の言ってられません。

 1学期の成績を付けて貰う一大チャンスなのに、これを逃すわけにはいきませんでした。

 光を浴びせ、声をかけ、弁当を作り、他の子たちにご飯を食べさせ、必死に送り出し、次女を起こすのに全力を注ぎます。次男だけ、幼稚園に行く準備をさせて、一緒のタイミングで学校に行くべく待機していました。

「8時になるぞ! 頑張れ!」

「テスト始まるの何時からなの? 起きよう!」

 どうにもこうにもならず、強引に準備します。

 しかし、天気が悪く、なかなか身体が持ち上がりません。

 テストの日程は詳しく見ていなかったので、どれがどの順番だったのか覚えてはいませんが、とにかく本当は1時間目からテストを受けるつもりでいたようなのですが、どんなに頑張っても、身体が動かないのです。

 1時間目のテストが始まりました。

 しかし、未だ身体は動きません。

 次男を一旦幼稚園に送り、戻って来て更に様子を見ますが、起き上がれません。

 そうこうしているうちに2時間目。

 どうにかからだが動くようになり、着替えますが、起きたばかりで身体は動きません。

「とにかく、何か食べていかないと」

 頭に糖分が行き渡らないと、考えることも難しいだろうと、軽く朝食を食べさせ、準備をします。

 どうにかこうにか準備を終え、ふと時計を見ると、あと少しで3時間目が始まりそうでした。

「学校に電話して、3時間目から受けますって言って!」

 寝ぼけ眼の次女を車に乗せ、滑り込みで3時間目からテストを受けたようです。

「殆ど分からなかった」

 と次女は言っていましたが、久々のテストに、少しは手応えを感じたようでした。

 この日は本当に本当に、ぐったりとしました。


 そんなこんなで息切れしながら1日の日程を終え、期末テスト二日目に備えるべく頑張っていたところに、電話が鳴りました。

『明日、遊びに行っていい?』

 19時半頃、突然予告してきたのは、お義母さんでした。

 何でも、一泊、適当で良いから寝させて欲しいと。

『もう荷物は積んだからね。明日出発して、何時頃だったら行っても良い?』

 ちょっと相変わらず何を考えているのかよく分からなかったのですが、私に拒否権はありませんから、分かりましたと答えました。

 頭の中は次女の期末テストのことでいっぱいだったので、本当に驚きました。

 と同時に、今までお義父さんお義母さんを寝させていた一階の和室はうさぎと次女が占拠してるし、リビングってわけにもいかないし、どうしようかという悩みが頭をよぎりました。

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