研修に行かなければならないという現実
子どもが生まれる度に産休と育休をフルに使い、1年以上休むことで、どうにか育児との両立を図ってきたのですが、よくよく考えれば、次女のときだけ1年未満しか休んでいなかったなと思い出されます。これが今の次女の体調と何らかの繋がりがあるのかどうかは分かりませんが、他の子は1歳ギリギリまで休んだのに対し、次女のときだけは9ヶ月になる少し前で育休を切り上げていたのでした。当然、母乳もそれより前に切り上げました。
あの頃はとにかく仕事に早く戻らなければ保育料が払えないとか、保育園には4月に入園しなければならないだとか、そういう強迫観念めいたものに囚われていたような気がします。別に、申し込みさえしっかりして、受理されたのなら、何月から保育園に通ってもよかったのに。
でも、一人目二人目の頃というのは、本当に育児その者が手探り状態で、盲目的に言われたことや聞いたことを鵜呑みにしていたのです。早く仕事に戻らなければというのも、周囲がそうやって早く切り上げることが多かったので、焦ったのかも知れません。他は祖父母と同居、うちは核家族。同じ状態じゃないということに気付いていれば、もしかしたらゆっくり休んでいたと思います。
さて、仕事をするにあたって資格の所得や更新が必要な職種に就いている私は、一定期間その仕事から離れたとして、再度研修を受けなければいけない立場にいました。
前の営業店勤務のときに三女と次男を産み、それぞれガッツリ休んだため、本当は長期に職務を離れたものに対して行う研修とやらに行かなければならないのを、ずっと放置していました。仕事のうち、とある業務についてのみ、その研修を受けないと説明や募集が禁じられているものなのですが、他に資格のある方がやってくれていたこと、私の事情を鑑みて、前の営業店長が「落ち着いてからで良い」と言ってくださったこともあり、そのままにしていました。
4月に転勤して、新しい営業所に行ったとき、もう逃れることは出来ないと腹をくくっていました。
次男も3歳、もう小さいからとは言えない年齢になっていたからです。
研修は仙台で行われることになっていました。日程は3泊4日。私の住んでいる地域からだと、初日の日程に間に合わないので前泊となり、結局は4泊4日という長丁場となります。
以前はこのような研修や出産のとき、夫の実家を頼っていました。
私の実家は農家と介護で忙しく、とても頼ることは難しかったのです。
はるばる遠いところからお義母さんに来ていただき、泊まり込みで家事をしていただきました。夫も家事が出来ないわけではないのですが、特に食事の用意に関しては出来ることが限られています。レトルトものを温めたり、惣菜の素のレシピ通りに作ったりは出来ますが、冷蔵庫にあるもので何が出来るか考えることは今でも不得意です。それに、毎日のお弁当もあるため、上の子たちも小さかった頃はとても夫一人に任せておくことは出来ませんでした。
ところが、年月が経ち、お義兄さん夫婦に子どもが出来ると、簡単にお願いしますと言うことは難しくなっていきます。次男の出産のときも、結局頼らず、自分たちだけでどうにかした経緯がありました。
上の娘達も大きくなっていることだし、いい加減どうにかなるだろうと、この年、研修を受けることにしたのでした。
春に「研修を受けます」と言ったときには、秋ぐらいになったら次女の具合もよくなっているかも知れないという希望がどこかにありました。しかし、現状は何も変わりませんでした。
結果的に、夫と長女、具合が悪く夕方までは殆ど動けない次女、それからそろそろ人のために動くことを覚えて欲しい長男に、わがままし放題の三女とオムツの一向に取れない次男を任せて研修に行かなければならないという地獄に陥ってしまいました。
「家の方は大丈夫なのか」
と課長に心配されましたが、
「多分、どうにかすると思います。旦那が」
ある意味諦めとも言える言葉を吐き出すしかありません。
半月ほど前から、
「ママは丸々一週間いません」
と子供たちに脅しのように毎日話しかけ、如何に日々のお手伝いが重要かを説きました。
特に反抗期に入りたての長男はやる気がなく、宿題も放置プレイのときがあったり、人の話を聞かないなど、未就学児以上に手がかかる状態でした。これを、何とかして動かさなければならないというのはかなりの重荷です。
「前は次女がやってたことも、今は具合が悪くて出来ないんだから、あんたがやるんだよ」
言ったところで、
「ずるい。あいつ、具合悪いのにゲームばっかりやってる」
彼にとって次女の具合の悪さは相変わらずフェイクでしかありませんでした。
「このままじゃ大変だよ? 私が居ない間どうするの?」
普段、洗濯と風呂掃除以外の家事は殆ど私が行っているため、不安しかありません。
一体この状況でどうしようというのか。
迷ったところで、時間はどんどん過ぎ去り、とうとう研修まで数日というところまで来ていました。
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