夕方の学校
「このままでは学校に来ること自体が嫌になってしまうのでは?」
ゴールデンウィークが開けても、体調は良くなる様子もありません。
学校への足が徐々に遠のいているのは、火を見るよりも明らかでした。
「もし、朝がダメなら、夕方体調が良くなってから学校に来るっていうのはどう?」
担任と学年主任の先生からの勧めもあって、私と次女は2017年5月頃から夕方学校へ通うようになりました。
「授業は受けられなくても、学校には来よう」
無理のない範囲で、どうにか登校しようということです。
「本人が歩いて来れれば良いんですが、無理な場合は車で送っていただいても良いですよ。同じような症状の子で、そうやって学校に来ている人も何人かいます」
なるほど、と思いました。しかし、私が仕事を終えて下の子たちをそれぞれの施設から回収し、中学校に次女を連れて行くとしたら、どんなに早くても18時半。これでは、出席扱いは難しいのではないかと思ったのですが。
「私たち職員の誰かが残っていて、次女さんの登校が確認できたら、出席扱いにしますから」
とてもありがたいことでした。
「それなら、どうにか出来るかも」
次女本人も納得の様子。
「出席するからには、出来るだけ職員室までは来ようね。どうしてもダメなときは駐車場まででも良いからね」
帰宅後、次女の体調を確認して車に乗せます。そのまま中学校へ。どうしても具合が悪くて車から降りられず、車まで先生が来たことも数回。体調が良いときは2階の職員室まで歩いて行き、その後1階の教室へ。机の中のプリントを回収したり、今現在のクラスの様子やこれからの行事、テスト範囲などを聞きます。
5月、だんだん日は長くなっているとはいえ、夕方7時近くになると、外は暗くなっていました。
長男に下の子たちの面倒を任せて、私は次女と学校の中まで付いていきます。
「体調良いときはクラスで一緒に勉強できるといいね」
「出来るところからで良いからプリントもやってみてね」
「教科書読むだけでもいいんだよ」
都度、色々と話しかけてくださり、それは次女も嬉しそうでした。
週に2~3回来られればということで、本当に無理のないペースですが、学校に行くようになりました。
ただ、自力で学校に行くことは全く出来ず、5月中は私が送ったとき以外は、学校に一人で行くことができませんでした。
5月後半になっていくに従って、体調はどんどん悪くなっていきました。
天気が悪い日が続くと、やはり具合も悪くなりました。
次女のLINEには、
≪ちょっと歩くだけでも立ちくらみしてて≫
≪動くのしんどい≫
≪頭痛いから話すの大変≫
≪全て音が頭に響くというか…やばい≫
という文字が並んでいました。
今のかかりつけの小児科に通うだけで良いのだろうか、という気持ちがどんどん渦巻いていきます。
いくら大きい病院出身の先生でも、個人病院で出来ることには限りがあるのかも知れない。いっそのこと、もっと大きい病院で診てもらうべきじゃないのか。
「心療内科で診てもらったらどう?」
かかりつけの小児科へ診察へ行くと、先生がそう言いました。
本当は、もっと大きい病院で診てもらうために、紹介状を貰いたかったのですが、そう言われると、なかなか言い出すことが出来ません。
「二軒隣にある心療内科なら、良いかもしれない」
心療内科に疎かった私は、そうですかとだけ返しました。
学校でも小児科でも心療内科を勧めてくる。これはもう、そこにすがるしかないのだろうかという考えが頭をよぎりました。
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