スクールカウンセラーとの出会い
長期連休やお盆を利用して、年に一度は夫の実家へ帰るようにしていました。この年のゴールデンウィークも、そのつもりでいました。ところが。
「休み取れたから、皆でそっち行くね」
唐突に訪れるこの時間。お義父さん、お義母さん、それからお義兄さん家族、合わせて6人でこちらに向かうとのこと。
片道半日以上の道のり、まさか来るとは予想もせず、必死の片付け。大抵お義父さんたちが来るときは突然なのです。
どうにか体裁を整え、日程をこなしました。
少し離れたところに宿を取ってくださり、こちらから何かご飯を準備するようなことはなかったのは幸いでした。
「ところで、次女ちゃんどうなの」
朝、帰る前にと立ち寄ってくれたとき、まだ起きて来ない次女を心配してお義母さんに訊かれましたが、
「朝は起きられないので、あんまり学校に行ってないんです」
としか答えられません。
「命には別状ないので大丈夫なんですけど、やっぱり学校に行かないと勉強が出来なくなるのが心配で。もともと成績は良い方だから、体調さえ戻れば追いつけると思います」
結局、そんな曖昧な回答しか出来ず、遠くからわざわざ赴いたのは、多分次女のことを心配したんだろうなというのは、間違いなさそうでした。
ゴールデンウィーク明けも、行ったり行かなかったり。
4月中に一度別の薬に切り替えたものの、合わずに元に戻してみたり、お腹の薬を変えてみたりと、小児科でも試行錯誤が続きます。
中学校駐在のスクールカウンセラーの方とお話出来るようだという話をすると、小児科の先生も、
「その方が良い。もしかしたら別の何かが原因かもしれないし」
と好意的でした。
2017年5月15日月曜日、午後から中学校でカウンセリングを受けることになりました。
私はしばらく控え室で待機、その後、入れ替わる形で話を伺いました。
「自分のことをきちんと語ってくれましたよ」
カウンセラーの方は女性で、年配の方でした。
「自分の好きなこととか、夢中になっていることとか、最初は警戒してましたけど、次第に話すようになりました。お話ししながら絵を描いて貰ったんですが、特に暗い気持ちになっている様子はないようですね」
心的要因は、極端には見受けられないとのことです。
メンタルヘルス・チェックリストというものを見せて貰いました。自分の気持ちについての簡単なテストです。内容は、以下の通りでした。
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【A】ここでは、最近のあなたの気持ちや体の様子についてうかがいます。下の文章をよく読んで、全く当てはまらない場合には0に、少し当てはまる場合は1に、かなり当てはまる場合は2に、非常に当てはまる場合は3に、○をつけてください。
1 よく眠れない
2 さみしい気持ちだ
3 だれかに、いかりをぶつけたい
4 ひとつのことに集中することができない
5 頭が痛い
6 泣きたい気分だ
7 いかりを感じる
8 むずかしいことを考えることができない
9 身体がだるい
10 悲しい
11 腹立たしい気分だ
12 根気がない
13 疲れやすい
14 心が暗い
15 いらいらする
16 勉強が手につかない
【B】あなたは、ここ数ヶ月のうちに、下に書いてあるようなことをどのくらい経験しましたか。よく思い出して答えてください。そして、全然なかった場合には0に、たまにあった場合は1に、ときどきあった場合は2に、よくあった場合は3に○をつけてください。
1 自分は悪くないのに、先生からしかられたり、注意されたりした
2 顔やスタイルのことで、友だちにいやなことを言われた
3 先生や両親から期待されるような成績がとれなかった
4 先生から、自分を他人と比べるような言い方をされた
5 クラスの友だちから、仲間はずれにされた
6 一生けんめい勉強しているのに、成績がのびなかった
7 先生が、えこひいきをした
8 自分の性格のことや自分のしたことについて、友だちにいやなことを言われた
9 人が簡単にできる問題でも、自分にはできなかった
10 先生が自分を理解してくれなかった
11 友だちに、いやなことをされたり、言われたりした
12 試験や通知票の成績が悪かった
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それぞれの項目に、0~3の数字が振ってあり、○を付ける方式です。
【A】は体のこと、【B】は学校のことが問われています。
この日、次女は体調についての設問の多くに、1以上の○を付けました。
1 よく眠れない
4 ひとつのことに集中することができない
5 頭が痛い
8 むずかしいことを考えることができない
9 身体がだるい
12 根気がない
13 疲れやすい
16 勉強が手につかない
この部分に特に注目するようにと話されたのか、カウンセラーの先生が印を付けています。
一方で、学校についての問いは、成績が悪かったところに1を付けた物の、他は全て0に○を付けていました。
「本人も、体調が悪いのが気になるようですね。3月以来、今まで大丈夫だった子も体調を崩すことが多くなっています。出来れば、心療内科のようなところでも受診してみると良いかもしれませんよ」
と、先生はおっしゃいました。
「例えば、T市の総合病院。小児科で相談を受け付けています。不登校の子供たちも診てくれますが、予約が必要です。あとは、同じくT市にある県立病院。思春期外来専門がありますが、半年くらい待つそうです」
「は、半年ですか……」
「同じような悩みを持っている子どもが沢山居るんですよ。でも、専門的にやっている病院は少ないので、どうしても予約待ちになります。S市内の個人医院さんでも、カウンセリングをやってくれる心療内科さんはありますが」
この日の収穫は、精神的にはそれほどダメージを受けていないのではないかと再確認できたこと。それでも、心療内科に診てもらった方が良いのではということ。そして、思春期の子どもを診てくれる心療内科さんは、思ったよりもずっと少ないようだということでした。
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