暗闇
これまで、私のテストの順位は下から数えたほうが早かった。でも、この前のテストで真ん中まで順位を上げることができた。目標の順位にはまだまだだったけど、「良かったね」って言って母に言ってもらいたかった。そうじゃなくても、たった一言褒めてくれれば嬉しかった。だが、その思いは、かんたんに砕かれた。
帰った私を待っていたのは、暴言の嵐だった。
「何この順位?この順位で満足してんの?」
(満足なんてしてない!これからもっと上がる!)
「勉強しないからはこんな順位なんだよ」
(勉強したからここまで上がったの!)
「こんなブスで馬鹿な子、なんで私の子に生まれたんだろう?」
(…)
「あぁ、✕✕ちゃんはいいな。頭よくて、運動神経も良くて、うちのことは大違い。なんであの子がうちの子じゃないんだろう?」
(なんで…いつもあの子と比べるの?あの子はあの子だし、あなたみたいな人と一緒にいて…幸せなわけないじゃん!)
母が夜勤で出て行ったあと、泣いた。母の前で涙を見せたら嫌味しか言われないから、耐えていたけど、母が出ていった後、涙袋が決壊した。いつもの事、いつもの事と思いながら、もう限界の自分がいる。
(もう生きていても辛い、私はあの人から永遠に逃れられない。だったら今死んでしまいたい…自由が許されない未来なんて嫌だ…)
あれから何時間経ったんだろう…私はいつの間にか眠ってしまっていた。ボヤけた視界の隅に何か明かりのようなものが見える…
「あれ…なんだろう…?」
私はふらりと立ち上がり、明かりの方に歩いていく…。明かりが強くなるほどに眩しい、でも、何なのか見たい…薄く目を開けて見ようとする。
「わぁー!」
「キッ…キャーー!!!」
夜の暗闇に私の悲鳴が響く、近所の人々が外で騒いでいるのが分かる。
(あぁ…ごめんなさい。何でもないのでどうかベットにお戻りください。)
「こんにちは○○さん、私は死神です」
「………」
(うわ!こいつ何⁉何かいきなりヤバイ人出てきたんですけど!てか、今家には私しかいないんだよね…。うん、多分これは夢だ。うんうん、これは絶対夢に決まっている。)
頬を引っ張ってみる
「………痛い」
「はい、現実です。私はあなたに死の宣告をしに来ました。ちなみにこれは事実ですよ」
その死神の女は、不思議な人だった。事実を言いながら、何かを隠しているような…何か不思議な違和感を感じた。
「…明日、私にもう一度会うときに『貴方はこの世界が好きですか』という質問に答えてください。では、私も忙しいので…」
そう言うと去っていってしまった。
私は、不思議に思いながらも床についた。
次の日
私は帰宅途中に告知通りに死んだ。
目を覚ますと、そこは白い部屋だった。あの女が上に伸びる階段の前で微笑んでいた。やはり、不思議な人だと感じた。
"貴方はこの世界が好きですか?"
「いいえ、私はこの世界で幸せを感じれなかった。確かに、親友や親戚と過ごすことは楽しかった。でも…私はそれ以上に…」
「じゃ、私がその苦痛、全部取り除いて上げる」
「えっ…」
その瞬間、私は何か黒いものに襲われた。
あの時、私は何に襲われたのだろう…そして、私は今、どこをさまよっているのだろう…
そして、彼女は今日も彷徨う
“貴方はこの世界が好きですか?"
(END)
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