第112話 熱闘二回戦
Bブロック二回戦第一試合、チーム・余りものⅠVSチーム・烈弩哀図。
対戦ルールは二点先取。先鋒の相葉陽子が勝利、中堅の大和梢が敗北し、試合は大将戦へともつれ込んだ。
「かましたれー! ブラックドラゴン!」
黒竜を模ったバイクを駆り、竜崎大名はステージ上を縦横無尽に駆け巡る。
対戦相手は純白のドレスに身を包み、天使の羽を模った弓を手にした魔法少女、
次々と飛来する光の矢を卓越した運転技術で回避し、大名はつばめ目掛けて突撃。だがそこでつばめは弓を二つに分離させ、羽根を模った二本の短剣に。逆手に持った短剣を構え、大名を迎え撃つ。
「そんなチンケな武器でうちのブラックドラゴンは倒せへんでー!」
カウンターを狙うつばめに対し、大名は真正面から突っ込む。バイクの纏う黒炎が短剣を弾き、強烈な体当たりでつばめを空高く突き飛ばした。
「勝者、竜崎大名!」
「勝ったでー!」
大名は勝利の雄叫びと共に、拳を天へと突き上げた。
(やっぱり強いな、あの人。古竜さんを苦戦させただけのことはある)
観客席の幸次郎は、そんな感想を抱いた。
そして次の試合を前にして、会場がざわめき出す。
「さて、次はいよいよ話題性抜群のあのチームが登場です。Bブロック二回戦第二試合、チーム・ウルトラセクシーVSチーム・パラダイス!」
普通に入場するチーム・パラダイスに対し、ウルトラセクシーの面々は一回戦同様私服姿で入場。
「さあ皆さん、行きますわよ! マジカルチェーンジ!」
四人の着ている服が光の粒子となって弾け飛び、大観衆の前で素っ裸に。更にそこからセクシーすぎる衣装を身に纏い、揃って決めポーズ。
「チーム・ウルトラセクシー、参上ですわ!!」
瞬間、怒涛の大歓声。実況の声すらかき消すほどの大盛り上がりである。
「凄いですねチーム・ウルトラセクシー。セクシーすぎる入場パフォーマンスですっかり観客の心を掴みました」
最前列で見ていた幸次郎は、ガン見しつつも顔を真っ赤にしていた。
(古竜さんてば本当肌の露出に抵抗ないんだから……)
このパフォーマンスは前回も見ているし、それどころか恋々愛に至っては光のエフェクトで隠してすらいない完全に丸出しの全裸まで見ている。それでもやはり健全な男子中学生にとってこれは、とても刺激が強いものであった。
少し冷静になったところで、幸次郎はふと気がつく。
(はっ、これじゃまるで僕がこれを見たくて一人だけこっちに来たみたいじゃないか!)
スケベだ何だと拳凰にからかわれる様子が、容易に想像できた。
(違うぞ! 僕は決してそういう目的でこっちに来たわけじゃ……いや、恋々愛さんを見に来ているという時点で相当スケベなのでは……)
悶々としながら自問自答。
そうこうしている間に、両チームから二人ずつ選手がステージに上がる。対戦ルールは二対二である。
「チーム・ウルトラセクシー、羽間ミチル&黄金珠子!」
上半身着込んで下半身露出のミチルと、下半身着込んで上半身露出の珠子。チーム内でもとりわけ痴女度の高い衣装の二人がペアを組む。
「チーム・パラダイス、
愛華はプリンアラモードをイメージしたドレスを着ており、手持ちの武器は巨大なスプーン。亜里抄はベストにスラックスというカジノのディーラー風衣装。
「うっわ~、改めて見ると本当痴女いわあっちの人ら。あたしあんな衣装じゃなくてよかった~」
「私達は運がよかったね」
パラダイスの二人はそんな感想を述べる。
「それでは……試合開始!」
まずはミチルが早速前に出た。珠子は後ろで待機。重厚なプレートメイルに身を包み大盾を持ったミチルが前衛、飛び道具を自在に操る珠子が後衛という陣形。
「そっちは防御力に自信がありそうだけど……部分的にはがら空きだよ!」
愛華は駆け出し、ミチルの腰部目掛けてスプーンを振り下ろす。上半身はしっかりと鎧で守っているのに、下半身は前貼り一枚という色んな意味での危なっかしさ。当然そこを狙うのは然るべき戦術であった。
だがミチルはそれを読んで大盾で受ける。甲高い金属音と共に、スプーンは弾かれた。それと同時に、愛華の体に強い重力がかかった。
「んなっ!?」
立った姿勢を保てなくなり、うつ伏せで倒れる。全身が押し潰されるような感覚である。
「あーあ、こうもあっさり敵の罠にかかって。運の悪い奴」
仲間のピンチに、亜里抄は静観。
「実力なんて不確かなものは信用できない。この世の勝負は全て運で決まる。運の悪い奴から負けるんだ」
コインを一枚指で弾き、落ちてきたものを握った拳の中に収める。
「コインは……表。ラッキー!」
そして表向きのコインをミチルに見せると、そこから強烈なビームが発射された。ミチルは瞬時に盾でガードするも、ビームは当たると爆発を起こしミチルを大きく後ろへ吹き飛ばした。ミチルの背後には大量の紙幣が現れてクッションとなり、ダメージを抑える。
「ナイスアシスト」
助けられたミチルは、振り返って珠子にウインク。
重力から解放された愛華は立ち上がった。
「う~、助かったよ亜里抄」
そう言う愛華に、今度は大量の紙幣が飛んでくる。
「出て来いプリン!」
愛華がそう言ってスプーンを振ると、空から巨大なプリンが降ってきて紙幣を押し潰した。
「おっきいプリン……食べたい……」
ベンチの恋々愛はそれを見た途端、そんなことを呟いてお腹を鳴らした。
「おっきいチョコプリンはここにあるけどねー」
隣に座る雫は、そう言って恋々愛の胸を人差し指でプニプニと突っついた。
「うわ柔らかっ」
そしてその柔らかさに驚愕。
一方ステージ上では、互いに前衛が優れた防御能力で守りつつ、後衛が飛び道具で攻める試合展開が続く。
「よし……ここまで三連表。今日はついてる」
亜里抄はコインを弾き、四発目のビームを撃とうとする。だが手の中のコインは、裏。
「あっ」
声を上げたのも束の間、コインが爆発した。
「おーっと、これは自爆かー!?」
実況の声が響く。煙の中から、少し衣装の焦げた亜里抄が出てきた。ダメージは受けたがまだ変身解除はされていない。
「人生は運ゲー。時にこういうこともある……」
だがそんな亜里抄に、巨大プリンを避けて飛んできた紙幣が迫る。
「あ、これホントに運悪い奴」
弾丸の如く飛んでくる紙幣を一斉に喰らい、亜里抄は変身解除。
「ちょっと~」
一対二の状況になってしまった愛華は不満の声を漏らした。そしてそんな愛華が余所見をしている間を狙って、ミチルの強烈なシールドバッシュ。吹き飛ばされた先で重力を喰らい、地面に叩きつけられた。
身動きのとれない愛華に、ミチルは腰をくねらせながら歩み寄る。そして何を思ったか、槍でスカートを捲り上げた。愛華のパンツにはプリンのバックプリント。
「プリンプリンのお尻ね」
そしてそのお尻に槍を突き立てて終幕。対戦相手をもセクシーに巻き込む、羽間ミチルの脅威。
「勝者、羽間ミチル&黄金珠子! よってこの試合……チーム・ウルトラセクシーの勝利!」
勝利宣言がされると、二人は揃って観客席に向けて投げキッス。
「うう~、酷いやられ方~」
負けた愛華は、バリアの中で涙目になっていた。
観客席の幸次郎はといえば、またも顔を真っ赤にしていた。彼の視線は試合そっちのけで、ウルトラセクシーのベンチに向けられていたのである。
何せベンチでは、雫が恋々愛の胸を揉みしだいていたのだ。
(何やってるんだあの人……どうして恋々愛さんは試合に出てなくてもいちいち僕の煩悩を刺激する……)
一方王都球場では、Aブロックの試合が終わりCブロックの試合が行われていた。
第一試合の対戦カードはチーム・ハイパードリルVSチーム・にゃんこ大好き。二対二のルールで、ハイパードリルが勝利した。
そして第二試合のチーム・格闘少女VSチーム・たまごは、二点先取のルールとなった。
先鋒を戦うのは、本戦に残った中で唯一の外国籍、レベッカ・シューティングスター。纏う衣装は星条旗ビキニである。対戦相手の
「戦闘機部隊、出撃ー!」
ミニチュアサイズの戦闘機が、滑走路となった腕から飛び立つ。対するレベッカは腰に手を当て仁王立ち。
「これは……ドッグファイトVSキャットファイトデスカー!?」
一斉掃射された機銃を慌てふためきながら避け、レベッカは逃げ回った。
「爆撃機部隊、出撃ー!」
今度はミニチュア爆撃機が飛び立ち、空から爆弾が振ってくる。
「オーノー! やられるデース!」
爆発に巻き込まれて吹っ飛び、レベッカは転がり回る。
「レベッカさん、大丈夫でしょうか……」
ベンチでは不安に駆られる寿々菜を見て、玲がふっと笑った。
「何も問題ないさ。彼女はプロレスの戦い方をしているだけだ」
「プロレスの戦い方?」
「あえて最初は敵の攻撃をしっかりと受け、苦戦を演出する。今は敵に見せ場を作るターンってわけだ。よく見ろ。防戦一方に見えるが、ベッキーはしっかりと受身を取りダメージを最小限に抑えている。わざとああいう戦い方をしている証拠だ」
暫く受身を取ることに徹していたレベッカだったが、ふとした拍子にジャンプして爆発を避ける。そして自身の魔法により、空中を蹴って更にジャンプ。
「ローリングサンダー・スターダストキーック!」
そして空中で車輪のように体を回転させ、爆撃機に踵落としを喰らわせて撃墜。更に空中でもう一度ジャンプし、二機の戦闘機を両脇に抱えた。
「メテオネックブリーカー!」
そして背中から一気に落下して床に叩きつけ、これまた撃墜。沸き立つ観客に向けてポーズでアピール。
「ここからがミーの反撃デース!」
レベッカは空中ジャンプを駆使して、空中から満月に迫る。だが満月の体に装備された大砲がすかさずそちらを向いた。避ける間も無く、砲撃が直撃し落下。
「オー! これは痛いデース!」
だがそれでもしっかりと受身を取り、致命傷には到らない。戦闘機が追撃の機銃を撃ってくるが、それはダッシュで躱す。
「まだまだ、諦めないデース!」
再びジャンプし、空中へと向かう。今度は砲撃をしっかりと避け、空中の飛行機を次々と蹴り壊しながら接近。落下しながら満月に抱きついた。
「喰らうデス! スターゲイザークラッシュ!」
しなやかな全身を駆使しての立ち関節技。相手の動きを封じつつ、痛め技でしっかりとHPを削ってゆく。相手のミニチュア飛行機は全て破壊した。
満月は腕を伸ばして滑走路にしなければ飛行機を離陸させることはできない。腕を曲げた状態で完璧に固めている以上、満月に脱出する手段は無い。
だが暫く削ったところでレベッカはあえて技を緩め、満月に脱出を許した。
「く……今がチャンスだ! 一斉出撃!」
慌てて伸ばした腕から、飛行機が次々と飛び立つ。飛行機の大群がレベッカを取り囲み、またしても形勢は逆転した。
「終わりだ!」
飛行機達の一斉攻撃と共に、自身の装備する大砲も発射。総攻撃でレベッカへのとどめを狙う。着弾と共に大爆発が巻き起こり、ステージは煙に包まれた。
が、次の瞬間、レベッカはムーンサルトで満月の頭上を飛び越え、後ろに回り込んだ。そして後ろから捉え、先程とはまた別の技で関節を極めてゆく。
「エクリプスジャーマン!」
そして関節を極めたまま大きく後ろに反り返り、ブリッジの体勢で満月の頭を床に打ちつけた。
「勝者、レベッカ・シューティングスター!」
「イエーイ! ミーの勝ちデース!!」
満月が変身解除されると、レベッカは空中に飛び上がりここ一番のど派手なポーズ。ウルトラセクシーにも負けず劣らずの目立ちたがり屋である。
「よし、まずは一勝。香澄、次で決めてこい」
玲の言葉に、香澄は無言で頷いた。
「チーム・格闘少女、水橋香澄! チーム・たまご、神田川茉莉!」
香澄は日に焼けた肌に群青色の髪、上半身はさらし一枚で下半身は黒いスパッツの上に廻しを巻いた、相撲をやっているとは思えぬほど華奢な体格の魔法少女。対する茉莉はバドミントンのユニフォームを着た魔法少女である。
「それでは……試合開始!」
茉莉の打ってきたシャトルの一撃を避けながら、香澄は突撃。香澄が茉莉に一定以上近づくと、二人の立つ床に土俵が現れた。そして茉莉の腰に廻しが巻かれる。
「なっ、これは!?」
茉莉が驚いたのも束の間、香澄は廻しを取って力一杯投げた。土俵外に倒れた茉莉は、地雷を踏んだかの如き爆発を受けて一発変身解除。
「勝者、水橋香澄! そしてこの試合……チーム・格闘少女の勝利です!」
「出ました一撃必殺の相撲魔法! あっという間の決着です! これにてチーム・格闘少女は決勝トーナメントに王手をかけました」
ベンチに戻った香澄は、チームメイトとハイタッチ。
「これにて、王都球場における本日の全試合が終了致しました。全試合の対戦結果発表は、王立競技場での試合が終了するまでお待ち下さい」
暫く待ったところで王立競技場でも全試合が終了し、本日の対戦結果が明らかになった。
・Aブロック
○ヴァンパイアロードVSショート同盟●
○桜吹雪VSラブリープリンセス●
・Bブロック
●余りものⅠVS烈弩哀図○
○ウルトラセクシーVSパラダイス●
・Cブロック
○ハイパードリルVSにゃんこ大好き●
●たまごVS格闘少女○
・Dブロック
●幼馴染VS最強無敵絶対優勝○
●余りものⅡVSハリケーン○
「ヴァンパイアロード、ウルトラセクシー、格闘少女の三チームが二連勝し決勝トーナメントに王手をかけました。Dブロックは前回勝利したチームがいずれも今回負けており、どのチームが勝ち残るのか読めません」
クロワッサンが語る隣で、カクテルは一人真剣な表情。
(明日は否が応でも朝香が出場することになるわけですが……残念ながら明日のAブロックは王立競技場の方なんですよねぇ。私が見られなければ何の意味も無い。ここは一つ手を打つとしますかな……)
<キャラクター紹介>
名前:
性別:女
学年:中三
身長:164
3サイズ:88-60-89(Dカップ)
髪色:黒
髪色(変身後):白
星座:射手座
衣装:純白のドレス
武器:弓
魔法:光の矢を撃てる
趣味:ピクニック
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