両雄激闘編

両雄、対峙する


 200-①


「分身……!!」

「本体……!!」


 武光と影光は再び対峙した。両者の間に緊張が走る。


「まさかお前が来ているとはな……本体」

「それはこっちの台詞や、もしかして……さっきのドデカい衝撃はお前らの仕業しわざか!?」

「フフン……魔王城でこの街の防壁に突っ込んだんだ。それより……お前達がいるって事は、まさかお前らの目的も暗黒教団のかしらなのか?」

「チッ、お前らもか……」


 その時、武光の背後にいたミナハが声を上げた。


「隊長殿!! あそこに倒れているのは……まさかロイ将軍では!?」


 驚天動地を構え、険しい表情を浮かべるミナハに対して、影光は足下で倒れ伏すロイに視線を落とすと、挑発的な笑みを浮かべた。


「ククク……あの白銀の死神もこの俺にかかれば──」

「嘘つけアホンダラ!!」


 言い終わる前に、影光の言葉は武光に否定された。


「ハァ!? う、ウソじゃねーし!! な、何を根拠に!!」

「ほう……ほんならその足の震えは何やねん!?」

「うっ!? ば、馬鹿野郎!! コレはその……『主に下半身を中心とした武者震い』だコノヤロー!!」

「お前それ、俺がビビり倒してる時の台詞やろがい!? 大体、シュワルツェネッ太に喧嘩売るとか……俺の記憶をコピーされとったらそんな恐ろしい真似出来るワケないやろがーーー!!」


 まるで真犯人を指摘する名探偵の如く、影光を “ビシィッ!!” と指差して言い放った武光だったが、根拠のあまりの情けなさに、武光は超武刃団の面々にジトッとした眼差しを向けられた。


「武光様……何堂々とカッコ悪い事言っちゃってるんですか……」

「武光……ビビりは相変わらずなのね……」

「武光君……」

「アニキ……」

「隊長……」

「隊長殿……」

「た、武光隊長……」


 そして影光は影光で……


「影光、セコいウソを吐くんじゃない!!」

「グムゥ……カゲミツ……カッコ……ワルイ……」

「みっともないですよ、影光さん」

「ホント情けないわねー……って言うか、今ですら足が震えまくってるし」


 四天王に盛大に溜め息を吐かれていた。


「と……とにかくや!!」

「と……とにかくだ!!」


 両者はバツが悪そうに咳払いをすると、相手を鋭く見据え、剣を構えた。


 武光は超聖剣イットー・リョーダンを。

 影光は魔王剣ネキリ・ナ・デギリを。


 そして……二人は叫んだ。


「行くぞ皆!! コイツらを撃退して、教皇を捕らえる!!」

「行くぞお前ら!! コイツらをブチのめして教皇をふん捕まえる!!」

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